
相続税改正2026|貸付用不動産の節税規制をわかりやすく解説
2026年度の税制改正大綱により、不動産を活用した相続税対策が変わります。 最大の焦点は、貸付用不動産と不動産小口化商品の評価方法が見直される点です。不動産会社には、税制改正の理解だけではなく、高い提案力が求められるでしょう。
本記事では、相続税改正の全容を整理し、顧客の資産を守るための具体的な対策をわかりやすく解説します。 変化をチャンスと捉え、信頼されるパートナーへの一歩を踏み出しましょう。
【相続税改正2026】貸付用不動産・小口化商品の評価見直しへ

令和8年度税制改正大綱では、資産課税の抜本的な見直しが盛り込まれました。不動産分野では、相続税節税への影響が大きいでしょう。まずは、改正の基本的な方針と施行に向けたスケジュールを紹介します。
相続税改正|翌年度以降の増減税に関する方針
国は翌年度(令和9年)以降、格差の固定化を防止し、税負担の公平性を確保していく方針です。物価高対策として所得税の控除額を引き上げる一方で、資産家への課税が強化されます。
不動産分野では、時価と評価額の差を利用した、行き過ぎた節税を抑制する姿勢が鮮明になりました。不動産会社は、この増減税を正しく把握しておかなければなりません。顧客の信頼を得るために、まずは基本となる方針をしっかりと確認しておきましょう。
参考:令和8年度税制改正大綱
注目は相続税の「大幅節税スキーム」是正
今回の改正で注目されているのは、不動産評価を利用した相続税の「大幅節税スキーム」是正にあります。現行の評価額は市場価格より低く、相続財産を過度に圧縮できる実態がありました。とくに、相続直前での過度な節税は、公平性を著しく損なうと判断されています。
このような背景から、適切な評価を行うことが今回の狙いです。行き過ぎた節税スキームを是正する動きは、今後も強まることが予測されるでしょう。
施行までのロードマップ
改正内容は、令和9年(2027年)1月1日以後の相続(遺贈)・贈与が対象です。 2025年12月19日に公表された大綱に基づき、今後、具体的な内容が決まる予定です。施行までには猶予があるため、定期的な情報収集が欠かせないでしょう。
情報収集を継続しながら、顧客が所有・検討している物件について、改正の影響を精査する必要があります。顧客にとって有益かつ正確な情報を迅速に届けることが、信頼を獲得する鍵です。
貸付用不動産による相続税の節税スキームと改正内容

貸付用不動産は、節税対策の王道として長く活用されてきました。しかし、今回の改正により、取得時期に合わせた「2段階の評価」が導入されることになります。
貸付用不動産評価の仕組みと節税スキーム
これまでは、土地の相続税評価額が路線価(時価)に対して約8割ほど、建物の固定資産税評価額が時価に対して7割ほどで算出されていました。つまり、現金(額面通り)を不動産に変えるだけで、少なくとも評価額の2~3割ほど圧縮できます。
さらに、貸付不動産特有の貸家建付地(2~3割減)・小規模宅地等の特例(土地の200㎡までを5割減)を加えると、大幅な節税効果が生まれます。とくに、借入金での購入は「債務控除」の対象になるため、さらなる節税につながるでしょう。
このような現状によって、市場価格と評価額の乖離が拡大し、不公平との声が上がっていました。
参考:国税庁|貸家建付地の評価、小規模宅地等の特例、相続財産から控除できる債務
改正後は「5年ルール」が適用される
改正後は、取得や新築から5年以内の物件に新ルールが適用される見込みです。
- 相続開始前5年以内に取得:時価ベース(取得価格の8割)で評価
- 取得から5年を超える保有:従来の評価
大幅な節税スキームが通用しなくなります。今後は相続開始前5年以内の取得を避け、長期保有を見据えた戦略が重要になるでしょう。
参考:令和8年度税制改正大綱
不動産小口化商品による相続税の節税スキームと改正内容

少額投資が可能な不動産小口化商品は、遺産分割対策としても人気です。しかし改正内容は、現物不動産よりも厳しい制限が課される見通しとなりました。
不動産小口化商品の仕組みと節税スキーム
不動産小口化商品は、都心の優良ビルなどを分割して保有する仕組みです。一口数万~100万円ほどで購入でき、投資額に応じて配当がもらえます。不動産小口化商品も貸付用不動産と同じ評価方法なので、市場価格と評価額の乖離率が非常に高くなることも、決して珍しくありません。
この圧縮効果の高さが、多くの投資家に節税手段として選ばれてきた理由です。しかし、過度な圧縮事例が目立つようになり、税当局の厳しい監視を受けることとなりました。
参考:不動産小口化商品で相続税の節税対策はできる?相続対策に活用するメリット
改正後は「取得時期問わず時価評価」へ
貸付用不動産との違いは、取得時期を問わず「時価」で評価される点です。令和9年(2027年)1月1日以後の相続や贈与では、保有期間が長くても時価相当額で評価されます。評価額は事業者から示される買取価格や売買実例を基に、適切に決定されます。
相続税の圧縮を主目的としたメリットは、ほぼ消えるでしょう。ただし、遺産分割のしやすさという本来のメリットは、今後も変わりません。節税以外の価値を顧客に伝え、納得感のある提案が求められます。
参考:三菱UFJ信託銀行|相続税等の財産評価の適正化
税制改正が不動産会社の営業現場に与える影響

税制改正は、営業手法や顧客への提案内容に影響を及ぼします。需要の変化や相談内容の傾向を、事前にある程度予測しておきましょう。
「駆け込み節税」需要と成約率の低下
施行前の2026年末にかけては、現行ルールによる「駆け込み節税」が増える見込みです。 一方で2027年以降は、節税目的の新規顧客が減少すると懸念されています。 結果的に成約率の低下にもつながるでしょう。
また、評価方法の変更にともなう対応や確認事項が増え、検討期間が長引くことも想定しておかなければいけません。出口戦略や収益性を含めた、より高度なシミュレーションの提示が不可欠です。短期的な売り上げを追うのではなく、市場の変化に即した戦略を練りましょう。
既存オーナーからの相談増加と信頼維持の重要性
顧客資産を守るために不動産会社がすべき「3つの対策」

顧客の資産を守るためには、従来の常識に囚われない新たなアプローチが必要です。ここでは、不動産会社が今すぐ取り組むべき3つの対策を提案します。
施行日(2027年1月)を見据えた「生前贈与」の提案
まずは、施行日を見据えた「生前贈与」の提案を検討しましょう。現行の評価方法が適用されるうちに生前贈与を行うことで、税負担を抑えられる可能性があります。
ただし、短期間かつ高額な贈与による、税務署からの否認リスクには要注意です。対策として、相続に強い税理士を交えた三者面談を実施しましょう。施行までの限られた時間を有効に使い、顧客に最適な選択肢を提示することが大切です。
収益性・長期保有を重視した事業提案
「5年ルール」の導入にともない、収益性向上と長期保有を重視した提案が不可欠です。取得直後の相続では節税効果が得られないため、インカムゲイン(家賃収入)が重要です。資産価値が下がりにくく、安定した家賃収入が見込める物件選びを徹底しましょう。
税金対策という付加価値に頼らず、不動産事業としての自立性を高めるアドバイスが必要です。5年の保有期間を戦略的に活用し、長期的な視点で資産形成をサポートしましょう。経営基盤を盤石にする事業提案こそが、これからの主流になるはずです。
節税目的以外の「実需・純投資」層へのターゲット拡大
節税層以外の「実需・純投資」層へ、ターゲットを拡大することも有効です。今回の改正は貸付用資産が対象であり、自宅などの実需物件への影響は限定的です。資産のポートフォリオを組み直す顧客に対し、住み替えや買い増しを促しましょう。
また、NISAの拡充などを背景に投資意欲が高まっている層も狙い目です。税制上のメリットだけでなく、資産成長そのものを目的とする層を掘り起こしましょう。多様なニーズへ応えるために、不動産以外の周辺知識もアップデートし続ける必要があります。
需要変化に勝つ集客戦略|「不動産連合隊」の活用

市場の変化に勝ち抜くためには、効率的かつ強力な集客戦略が不可欠です。そこでおすすめしたいのが、地域密着型プラットフォーム「不動産連合隊」の活用です。改正への不安から、正確な情報を求めて検索するユーザーは今後増加します。
不動産連合隊は、独自のSEOによる高い集客力だけではなく、掲載物件を強力にアピールできる仕組みが整っています。単なる広告枠としてではなく、競合と差別化を図るための武器として不動産連合隊を活用すべきでしょう。
「資産防衛のパートナー」として顧客との信頼を築こう!

今回の相続税改正は、単なるルール変更ではなく業界の在り方を問うものです。改正によって、顧客は自分の不動産に対して大きな不安を抱いています。相続税改正の内容を把握したうえで、節税効果だけを謳う営業ではなく、資産防衛のパートナーを目指しましょう。
顧客の不安に寄り添い、専門知識を活かして解決策を提案できる会社が選ばれます。士業とも強固なネットワークを築き、ワンストップで支援できる体制を作ることが重要です。
また、「不動産連合隊」の活用も並行して行うことで、節税層以外のターゲットにアプローチしやすくなります。顧客の不安を解消しつつ自社の集客力もアップさせ、総合的に強い不動産会社を作っていきましょう。
相続税改正2026でよくある質問
5年ルールは、既存保有の貸付用不動産にも適用される?
結論から言うと、「5年以上前から所有している土地」に建てた貸付用不動産であれば、改正(5年ルール)の対象外になる見通しです。今回の増税ルールは、主に「相続直前の現金による物件購入」を規制するものです。
先祖代々の長期保有している土地にアパートを新築した場合、たとえ建築後5年以内に相続が発生しても、従来通りの低い評価(節税効果)が維持されます。ただし、「改正通達日」までに建築(着工)していることが条件となるため、早めの着手が安心です。
法人名義の不動産も、5年ルールの対象になる?
節税目的の不動産購入は、今後も有効?
結論から言えば、5年を超える長期保有が前提であれば有効です。取得から5年を経過すれば、従来の路線価等による評価が維持されるからです。また、不動産小口化商品でも遺産分割を円滑に進めるという目的では、高い価値を保ちます。
さらに、小規模宅地等の特例などが適用できれば、評価額を大きく下げられるでしょう。改正は「駆け込み的な直前購入」を制限するものであり、不動産の価値そのものを否定するものではありません。中長期的な計画を立てることで、健全な節税は継続できます。









