
テナントリーシングとは?不動産会社が仲介数を増やすための方法
最近では、「貸テナントの仲介件数を増やしたい」という不動産会社が増えているようです。理由の一つとして、住宅仲介に比べて1件あたりの売上が大きくなりやすいことが挙げられます。
一方で、テナントリーシングは住宅仲介よりも難易度が高く、「思うように成果が出ない」「テナントの分野に参入できずにいる」というケースも多いでしょう。
本記事では、テナントリーシングの基本から実行フロー、よくある失敗の回避策などを解説します。また後半では、中小不動産会社がテナントリーシングを拡大するための差別化戦略をご紹介します。
テナントリーシングとは?|その基本と必要性

はじめに、テナントリーシングの基本と市場背景を整理します。これを把握しておくことで、後述する情報が理解しやすくなります。
テナントリーシングとは、テナント誘致を支援する賃貸業務
中小企業庁では、テナントリーシングを次のように定義しています。
「空き店舗や共同店舗に新しいテナントを探して、誘致するのがテナントリーシング、いわば不動産賃貸契約を行うことです。」
引用:中小企業庁|テナントリーシング
ただし、短期的に「空室を埋めること」を目的にしたテナントリーシングでは、ミスマッチが起こりやすく、結果として早期退去につながりやすいです。
目指すべきは、物件と相性がよいテナントが長く入居し続け、その結果、オーナーの収益が安定する状態です。こうした運営が実現すると、オーナーと借主双方の信頼感が高まり、リピートや紹介が増える好循環が生まれる可能性が高まります。
テナントリーシングが注目される理由
近年、不動産会社の間でテナントリーシングが注目されています。理由としては、次の3つが考えられます。
住宅仲介と比べて仲介報酬が高くなりやすい
不動産会社の数が増加傾向にあり、競争が激しくなっている
貸テナントの需要が一定程度存在する
ただし、貸テナントの需要が高いかどうかは、エリア特性に大きく左右されます。次のような地域では、テナントリーシングのニーズが高まりやすい傾向があります。
再開発が進んでいる地域
インバウンドが増えている地域
人口が安定または増加している地域
エリアの特性や需要を見極め、戦略的に取り組むことが重要です。
テナントリーシングと住宅仲介の違い
テナントリーシングは、不動産会社の大きな収益の柱になる可能性があります。一方、業界関係者からは「住宅仲介より難しい、きつい」との声も聞かれます。その主な理由は、次の2つです。
【幅広い専門知識が必要】
住宅仲介ではあまり問われない知識が求められます。たとえば、業態ごとの特性・消防法などの法規制・内装工事の区分・テナント契約における原状回復の考え方などです。
【成約までの工数が長くなりやすい】
テナント仲介では、借主が出店計画を検討したり、資金計画を立てたり、金融機関との調整を行ったりするケースもあります。こうしたプロセスが加わるため、住宅仲介と比べて成約までの期間や工数が長くなる傾向があります。
ただし、参入障壁が高いからといって諦めるのは機会損失です。これから力を入れたい不動産会社は、次の施策で業務を効率化できます。
研修や専門知識の整備:必要な知識をあらかじめ体系化し、社内で共有する
ヒアリング項目のテンプレート化:確認事項を標準化することで、抜け漏れや属人化を防ぐ
集客チャネルの最適化:貸テナントに強い媒体を選ぶことで、効率的に見込み客へアプローチする
テナントリーシングは難易度が高い分、参入のハードルも高い分野です。裏を返せば、競合が限られるブルーオーシャンである可能性も秘めています。テナント仲介で実績とノウハウを積み重ねていければ、不動産会社としての強みとなり、長期的に安定感のある経営につながるでしょう。
テナントリーシングの方法|実行フローと進め方

次に、テナントリーシングの業務の流れを確認していきましょう。ここでは次の5つのフローに沿って、それぞれのポイントを解説します。
新規オーナー開拓
戦略立案
募集活動(テナント誘致)
反響対応・内見案内
入居審査・契約業務
※本記事では、不動産会社がオーナーから直接依頼を受けてテナントを仲介する場合の一般的なフローをご紹介します。
新規オーナー開拓
オーナーからの依頼がなければ、テナントリーシングは始まりません。貸テナントを開拓するには、次のような方法が挙げられます。
募集看板が出ていない空き店舗を見つけて直接アプローチする
ニュースレターやメルマガで既存オーナーにPRする
店舗でテナント仲介をPRする
金融機関や商工会議所などから紹介してもらう
貸テナントの依頼を獲得できたら、丁寧にヒアリングしたうえで、提案を行いましょう。項目例は次のとおりです。
基本情報|建物の用途・築年数、面積(坪数)、以前のテナント業態
賃料条件|希望賃料、共益費、保証金・敷金
業態の可否|飲食店の可否、重飲食の可否、美容室・クリニックの可否
設備条件|電気容量、ガス容量、給排水設備、ダクト・排煙設備
内装条件|スケルトンか居抜きか、居抜き設備の譲渡条件、工事区分、原状回復の範囲
これらに加えて、オーナーの方針(優先するのは早期成約か、長期入居かなど)も伺えるとベストです。
戦略立案
テナントリーシングで成果を出すには、闇雲に募集をかけるのではなく、戦略的に計画を立てることが重要です。次の2つの視点で情報を整理し、誘致を進めると効果的です。
【市場調査】
まず重要なのは、物件が所在するエリアの市場を把握することです。テナントリーシングでは、立地によって成約しやすい業態や賃料水準が変わります。そのため、次のような視点で調査を行うとよいでしょう。
視点 | ポイント |
周辺のテナント業態 | ・どの業種が多いのかを確認する ・集中している業態がある場合、出店ニーズが高い可能性がある |
競合物件の条件 | ・周辺の賃料水準、空室状況、募集条件などを調べる |
人の流れ(動線) | ・通行量や動線を確認し、どの業態が成立しやすいかを見極める |
【条件設定】
市場調査の結果を踏まえて、物件の募集条件を設計します。この内容が適切でないと、反響が少なくなったり、成約まで時間がかかったりします。オーナーと意見交換しながら慎重に設定しましょう。
賃料の設定:周辺相場を参考にしながら、適正な賃料を提案する
業態の選定:物件の設備や周辺環境に合った業態を想定する
ターゲットテナントの明確化:個人の新規開業なのか、チェーン店の出店なのかなど、想定する借主を明確にする
募集活動(テナント誘致)
テナントリーシングでは、ターゲットとなる出店希望者に情報を届けるための集客活動も重要です。その具体策として、不動産会社ネットワークの活用や募集看板の設置のほかに、次の内容が考えられます。
【不動産ポータルサイトへの掲載】
一般的なテナントリーシングでは、住宅仲介と同様、ポータルサイトが集客の軸となることが多いです。ただし、貸テナントに強いポータルサイトを選ぶことが重要です。住宅仲介では実績があっても、テナントでは成果が上がりにくいケースも少なくありません。
【出店希望者への直接営業】
テナントリーシングでは、出店希望者に対して直接アプローチする営業活動も効果的です。たとえば、次のような方法で、潜在的な出店ニーズを掘り起こすことが期待できます。
出店候補となりそうな企業への提案
エリア内の新規出店情報の収集
地元事業者への声掛け
反響対応・内見案内
テナントリーシングは、住宅仲介に比べて反響数が少ない傾向があります。だからこそ、限られた問い合わせを取りこぼさないことが重要です。問い合わせが入った見込み客には迅速に対応し、ニーズに合った物件を的確に案内することが求められます。
そのために、まずは見込み客に対して丁寧なヒアリングを行い、物件とのミスマッチがないかを確認しましょう。確認したい項目は、次のとおりです。
業態
必要な坪数や席数
設備要件
開業希望時期
予算感
ヒアリングの結果、物件との相性がよさそうな場合は、迅速に内見へつなげます。一方で、ミスマッチの場合は、無理に案内・交渉を進めるのではなく、別の貸テナントを提案することも大切です。その際は、「なぜ、こちらの物件の方が条件に合っているのか」を丁寧に説明すると納得感を得やすくなります。
入居審査・契約業務
テナントリーシングの審査では、「安定して営業できるテナントか」を見極めることが重要です。これにより、賃料滞納や早期退去などのリスクを低減できる可能性が高まります。次のポイントを重視しながら、慎重に判断しましょう。
【事業計画の妥当性】
「業態がそのエリアや物件に合っているか」や「事業計画に無理がないか」などを確認します。とくに新規開業の場合は、事業や資金の計画をしっかり把握することが重要です。
【資金力・支払い能力】
テナント契約後は、賃料だけでなく内装工事費や設備投資などのまとまった資金が必要になります。「開業資金に余裕があるか」や「資金調達の見通しが立っているか」などを確認します。
テナントリーシングで失敗しないためのポイント

テナントリーシングは、住宅仲介と比べて案件数が少なく、成約までの期間が長くなりやすい分野です。そのため、案件ごとに戦略を立てて取り組むことが重要です。ここでは、失敗のリスクを軽減するために押さえておきたい4つのポイントを解説します。
募集方法|貸テナントに特化したポータルを選ぶ
テナントリーシングでは、募集媒体の選択が成果を左右します。住宅中心のポータルサイトでは、事業用物件の情報が埋もれてしまうことも少なくありません。
貸テナントに特化したポータルサイトを活用すれば、集客の効率化や成約精度の高い問い合わせ獲得に役立ちます。
契約形態|専任募集にしてもらうのが理想的
不動産会社からすると、テナントリーシングは手間がかかるため、専任募集(元付1社)にしてもらうのが理想です。これにより、労力をかけて戦略立案や集客が行いやすくなります。これを実現するには、専任募集によってオーナーに次のようなメリットがあることを説明すると理解を得やすくなります。
募集戦略を一元管理しやすくなる
情報発信を集中的に行いやすくなる
反響や市場の反応を分析しながら改善しやすくなる
設備面|飲食とサービスでポイントが異なる
テナントリーシングでは、設備条件が成約に大きく影響します。ターゲットと設備が合っていない場合は、整備を検討してもらうようオーナーに提案することも重要です。
【飲食店に必要な設備例】
ダクト・排煙設備
給排水設備
ガス容量
グリストラップ
【サービス業に必要な設備例】
電気容量
給排水の位置
間取りの自由度
看板設置スペース
KPI:指標を明確にして改善を重ねる
テナントリーシングでは、募集活動の成果を把握するためにKPI(重要指標)を設定すると業務改善がしやすくなります。KPIの項目例は、以下のとおりです。
問い合わせ数
内見数
申込数
成約率
成約までの期間
設定したKPIを定期的に確認することで、募集条件や広告内容の改善ポイントが見えてきます。たとえば、「問い合わせが少ない場合は募集媒体を見直す」といった改善が可能になります。
中小不動産会社がテナントリーシングで勝つための戦略

ここでは、地域密着の中小不動産会社がテナントリーシングで成果を出し続けるための、具体的な戦略を整理します。
ポジション戦略|特定業態でエリアNo.1を目指す
テナントリーシングで幅広い業態に対応しようとすると、競合との差別化が難しくなる傾向があります。そこで重要になる戦略の一つが「業態の特化」です。特定の業種に強みを持たせることで、「この業態なら●●不動産」という認知を地域で築きやすくなります。
たとえば、次のような形で業態を絞る方法があります。
美容系:美容室、エステサロン、ネイルサロンなど
飲食系:重飲食店、カフェ、バーなど
小売系:雑貨店、食品販売店など
学習系:学習塾、保育施設、カルチャースクールなど
また、業態だけでなくエリアに特化する戦略(例:主要駅周辺、繁華街、郊外ロードサイドなど)も有効な戦略と考えられます。
提案力|借主のタイプによって的確な提案
テナントリーシングでは、オーナーと借主の双方に対して「状況に応じた提案」を行うことで、効果を高めることが可能です。
たとえば、オーナーに対しては、物件の収益力を高めるための用途変更を提案することもあります。オーナー自身が気づいていない物件の可能性を示すことで、新たなテナント需要を取り込める場合もあります。
【用途変更の提案例】
事務所 → 学習塾
小売店舗 → 調剤薬局
雑貨店 → カフェ
倉庫 → 撮影スタジオ
一方、借主への対応は、ニーズに合わせて柔軟に対応することを心がけましょう。
たとえば、はじめて開業する人の中には、資金計画や融資の準備が十分に整っていない場合もあります。そのような場合には、物件紹介だけでなく、事業計画の整理や金融機関の紹介などを通じて開業をサポートする姿勢が求められます。
集客|地域ネットワークを最大限に活かす
地域密着の不動産会社が持つ強みの一つに「地域ネットワーク」があります。この強みをテナントリーシングに活かすべきでしょう。ポイントになるのは、「誰と、何をするか」という視点です。
まず「誰と」の部分では、開業予定者などと、関係性の深い事業者による連携が有効です。
商工会
金融機関
税理士
工務店 など
こうした方々と日頃から情報交換を行っておくと、出店ニーズの早期把握につながります。次に「何をするか」という視点では、次のような取り組みが考えられます。
共同セミナーの開催
開業相談会の実施
出店希望者の相互紹介
たとえば、顧問税理士に「開業予定者向けのセミナーを一緒に開催しませんか」と声をかけてみるところからはじめてはいかがでしょう。
なぜ、不動産連合隊はテナントリーシングに貢献できるのか

テナントリーシングにおいて、集客の軸となるのは「テナントに強い不動産ポータルサイト」です。その有力な選択肢の一つが「不動産連合隊」です。ここではその理由を整理します。
地域特化型だから、ニッチなテナント物件にも強い
一般的な住宅中心のポータルサイトでは、テナント情報が埋もれやすい傾向があります。住宅物件の掲載が中心のため、テナント物件が目立たないことも少なくありません。中には、そもそも事業用物件を掲載対象としていないポータルサイトもあります。
一方、不動産連合隊は商圏を限定した「エリア特化型の設計」になっており、貸テナント情報もしっかり届けられる仕組みになっています。
実際に不動産連合隊の加盟店へヒアリングすると、
「貸テナントの反響を取るなら連合隊が有力」
「テナント物件の問い合わせ数は連合隊が最も多い」
などの声が聞かれます。
参考:不動産連合隊|お客様活用事例
事業用物件に特化した「テナント連合隊」がある
不動産連合隊には、テナント物件に特化したポータルサイト「テナント連合隊」もあります。これはその名のとおり、貸店舗や貸事務所を探しているユーザーが、テナント物件を検索するための専門サイトです。
現在、テナント連合隊は全国的に展開されていますが、札幌・函館・仙台・浜松・名古屋・ 神戸・福岡などのエリアではその地域に特化した専門サイトがあります。

また、「テナント連合隊」では、貸店舗や貸事務所を探すユーザーの視点を意識した特集コーナーも充実しています。たとえば、次のような特集が好評です。
居抜き物件特集
有名繁華街特集
集客力重視の立地特集
こうした企画によって、テナント物件を本気で探しているユーザーへ効率よく情報を届けることが可能になります。
テナントリーシングの契約数を、不動産連合隊で伸ばそう

テナントリーシングは、住宅仲介と比べて報酬が高い傾向です。そのため、不動産会社の安定経営に大きく貢献する領域といえるでしょう。
しかし、テナントリーシングでは住宅仲介とは異なるノウハウが求められます。思うような反響を得られず苦戦する不動産会社も少なくありません。
そこで有力な選択肢の一つとなるのが、テナント物件に強い媒体として定評のある「不動産連合隊」です。連合隊に加盟することで、テナント物件を探しているユーザーへ情報を効率的に届けやすくなり、テナントリーシングの成果につながります。
各地域の市場特性や集客事例をまとめた資料は、下記よりダウンロードできます。ぜひご活用ください。
テナントリーシングに関するよくある質問
テナントリーシングを依頼するなら大手不動産会社がよい?
テナントリーシングを依頼する場合、大手不動産会社がよいのか、それとも地域密着の中小不動産会社がよいのか迷う方もいるでしょう。実際には、案件の中身に応じて使い分けることが重要です。
たとえば、大規模施設のリーシングの場合、大手不動産会社が力を発揮しやすいです。こういった案件では、大手が持つ広域ネットワークや知名度、情報力が有利に働きます。
一方で、次のような出店ニーズでは、地域密着の中小不動産会社が強みを発揮しやすいです。
新規開業者
小規模店舗
地元企業の2店舗目、3店舗目
こうした案件では、地域の出店動向や人のつながりを把握している不動産会社の方が、テナント候補を見つけやすい傾向があります。
テナントリーシングにおける商業施設の注意点は?
小規模の商業施設(ショッピングセンター・商業ビル・複合施設など)では、地域の不動産会社が出店者を仲介するケースもあります。ただし、この場合は区分テナント物件とは異なる注意点があります。
まず、商業施設にはそれぞれターゲット層や施設コンセプトが設定されているので注意しましょう。テナントの業態や価格帯がコンセプトと合わない場合、出店が認められないこともあります。
また、多くの商業施設では運営ルールが定められており、営業時間や定休日、セールやイベントへの参加などの制約が設けられていることもあります。こうした条件が出店者の経営方針と合うかどうか、事前に確認しておくことが重要です。









