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賃貸契約解除の流れと注意点|通知書・違約金・居座り対応まで解説

不動産会社にとって、賃貸契約解除はトラブルが発生しやすい管理業務のひとつです。とくに、オーナー側からの賃貸契約解除は、対応を誤るとトラブルの長期化や訴訟に発展するおそれがあります。

そこで本記事では、管理会社がオーナーを適切にフォローするために押さえておきたい、賃貸契約解除の基本・通知書の書き方・状況別の対応策などについて解説します。

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賃貸契約解除の流れと基本的な考え方

退去立会い

はじめに、オーナー側からの賃貸契約解除が認められるための条件や、契約解除の流れなどを見ていきましょう。

オーナー側からの賃貸契約解除の条件

借地借家法では、入居者の権利が強く保護されているため、オーナーは「正当事由(正当な理由)」がない限り、原則として一方的に賃貸契約を解除できません。
この正当事由の有無は、次のような事情を総合的に勘案して判断されます。

・入居者とオーナー双方における物件使用の必要性
・賃貸契約のこれまでの経過(軽微な契約違反の有無や契約期間の長さなど)
・土地・建物の利用状況
・建物の現況(老朽化の程度など)
・立退料の有無やその内容

もっとも実務上は、重大な債務不履行のない入居者に対して、オーナー側から契約解除をするハードルはかなり高いです。

一方で、入居者に信頼関係を破壊するほどの債務不履行などがあった場合には、オーナー側から賃貸契約解除ができる可能性がある点に注意が必要です。

たとえば、家賃滞納の場合、滞納が3か月以上に及ぶ場合は、契約解除が認められやすいといわれます。ただし、実際には催告の有無や経緯などの個別事情も考慮されます。

参考:日本家主地主協会|正当事由による契約終了

賃貸契約解除の申し入れから退去までの流れ

オーナー側から賃貸契約解除をする場合は、しかるべき手順を踏んで慎重に進めることが大切です。とくに重要なのは、初動の段階で「問題行為を整理すること」と「証拠を残すこと」です。この2点を丁寧に行うことで、後のトラブルを防ぎやすくなります。

●問題行為を整理する
まずは、賃貸契約解除の理由となる問題行為を明確にしましょう。家賃滞納・騒音・無断転貸・近隣トラブルなど、どのような問題が生じているかによって、取るべき対応は異なります。合わせて、賃貸借契約書の内容を早い段階で再確認することも大事です。

●証拠を残す
次に、賃貸契約解除の根拠となる問題行為について、証拠を記録・整理します。たとえば、騒音や迷惑行為が問題の場合は、苦情があった日時や内容・発生回数・対応記録などを整理しておきます。必要に応じて、写真や動画なども保存しておくとよいでしょう。

●催告を行う
賃貸借契約解除通知書を送る前に、まずは改善の余地がないかを確認します。たとえば、家賃滞納が理由であれば、本人に支払いの意思があるかを確認し、必要に応じて連帯保証人に対しても督促を行います。

●通知書を送付する
催告をしても改善が見られない場合は、賃貸借契約解除通知書を速やかに送付します。その際は、「内容証明郵便」を利用するのがよいでしょう。内容証明郵便とは、「いつ・いかなる内容の文書を、誰から誰あてに差し出されたか」を日本郵便が証明する制度です。

そのため、相手方が「賃貸借契約解除通知書を受け取っていない」と主張しにくくなり、訴訟に発展した場合に証拠として活用できる場合があります

参考:日本郵便株式会社|内容証明

●建物の明渡しを求める
賃貸借契約解除通知書を送付した後は、まず任意の物件明渡しに向けて交渉を進めます。入居者がこれに応じる場合には、契約解除や建物明渡しに関する合意書を作成し、退去手続きを進めましょう。

一方、入居者が任意の明渡しに応じない場合は、「不動産明渡請求訴訟」へ移行することになります。これは、裁判所を通じて強制的に立ち退きを求める手続きです。

賃貸契約解除でトラブルになりやすいポイント

賃貸契約解除に関する交渉や手続きは、トラブルに発展しやすい場面が多くあります。管理会社が対応を誤ると、オーナー側が不利な立場に置かれたり、問題の解決が長期化したりするおそれがあります。こうしたリスクを避けるために、次のような対応には注意が必要です。

・契約解除の理由が弱く、オーナー側の主張だけが先行している
・催告や通知書に不備がある
・入居者への説明内容が担当者によって異なっている
・退去日や費用負担の条件が曖昧なまま話が進んでいる
・家賃の精算、原状回復費用、違約金などについて十分な説明ができていない

賃貸借契約解除通知書に記載すべき内容と書面例

通知書

オーナー側から賃貸契約解除をしたい場合は、入居者に対して解除の意思表示を行う必要があります(民法540条)。また、その意思表示は、通知が相手方に到達した時点で効力を生じます(民法97条1項)。

賃貸契約解除の意思表示は口頭でも可能ですが、確実性を高めるためには、通知書を送付するのが望ましいでしょう。通知書があると、訴訟に発展した場合に重要な証拠となるからです。

もっとも、賃貸借契約解除通知書の内容に不備があると、十分な効力を発揮できないおそれがあります。そこで、ここでは、通知書に記載しておきたい主な項目と、参考となる書面例を紹介します。

参考: e-Gov  法令検索「民法

賃貸借契約解除通知書に記載したい内容

賃貸借契約解除通知書に記載したい主な項目は、次のとおりです。

・通知日
・通知書の表題
・入居者の氏名、物件名、物件所在地
・家主の氏名、住所
・管理会社の名称、住所
・契約解除の理由
・契約期間の満了日

賃貸借契約解除通知書のひな形(書面例)

賃貸借契約解除通知書の文面は、解除の理由によって異なります。ここでは、家賃滞納を理由に契約を解除する場合のひな形をご紹介します(通知日や入居者・家主の氏名などは省略しています)。

賃貸借契約解除通知書

賃貸人〇〇〇〇(以下「賃貸人」といいます)は、賃借人〇〇〇〇様(以下「賃借人」といいます)に対し、令和〇年〇月〇日より、本件建物を下記条件にて賃貸しております(以下「本件賃貸借契約」といいます)。

・賃料 1か月〇万〇〇〇〇円
・支払期日 毎月末日に翌月分を前払い

賃借人は、令和〇年〇月分から令和〇年〇月分までの賃料の支払いを怠っており、その滞納額は合計〇〇万〇〇〇〇円になっております。

賃貸人は、賃借人に対し、令和〇年〇月〇日付の通知書により、通知書到達後10日以内に滞納賃料を支払うよう催告いたしました。しかしながら、現在に至るまで支払いは確認できておりません。

このような賃料不払いは、本件賃貸借契約における重大な債務不履行にあたり、賃貸人と賃借人との信頼関係を著しく損なうものです。よって、賃貸人は、本通知(令和〇年〇月〇日付)をもって本件賃貸借契約を解除致します。

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【状況別】賃貸契約解除の対応策

入居者宅を訪問する不動産会社

オーナー側から賃貸契約解除をする場合は、状況に応じて取るべき対応が異なります。それぞれのケースの具体的な対応策をご紹介します。

家賃滞納がある場合

家賃滞納があるからといって、すぐに賃貸契約を解除できるわけではありません。解除を進めるには、入居者との信頼関係が破綻したことを、記録や手続きを通じて示す必要があります。対応のポイントは次のとおりです。

・滞納額、滞納回数、滞納期間を記録する

・督促した日、連絡手段、入居者の返答内容を記録する

・口頭連絡だけで済ませず、書面で催告する

・分割払いの約束をした場合は、必ず書面に残す

実務では、滞納発生直後から時系列で記録を残しておくことが重要です。また、裁判では「何か月滞納したか」に加えて、「オーナー側がどのように改善の機会を与えたか」も確認される点を意識しておきましょう。

違約金が発生する場合

賃貸契約解除にあたって違約金を請求する場合は、まず次の2点を整理する必要があります。

・契約書に解約違約金の定めがあるか(定めがなければ請求はできません。)

・短期解約違約金なのか、債務不履行に基づく損害賠償なのか

短期解約違約金とは、賃貸借契約の締結後、短期間で解約した場合に借主が支払う金銭のことです。たとえば「1年未満で解約した場合は家賃1か月分を支払う」といった定めが契約書にあれば、請求できる可能性があります。

なお、違約金・敷金精算・原状回復費用をひとまとめで請求するのは避けましょう。入居者が混乱しやすく、トラブルリスクが高まります。それぞれの根拠・金額・支払期限などを丁寧に説明・明示することが重要です。

通知を拒否・無視された場合

賃貸借契約解除通知書の受け取りを入居者に拒否されたり、無視されたりした場合は、再通知を行うとともに、通知した事実を証拠として残すことが重要です。対応のポイントは次のとおりです。

・電話、郵便、訪問などの対応履歴を記録する

・内容証明郵便を利用し、通知した事実を証拠化する

・訴訟や明渡し請求を見据えて準備を進める

内容証明郵便は、受け取りを拒否されることもあります。それでも、発送や配達の記録を残しておけば、家主として適切に通知したことを後から証明しやすくなります。

契約解除後も居座り続けている場合

賃貸契約解除をした後も入居者が居座り続けている場合、オーナーや管理会社が自力で追い出そうとしてはいけません。焦って実力行使に出るとオーナー側が不利となり、損害賠償を請求されるおそれがあります。とくに、次のような対応は避けるべきです。

・鍵交換や荷物の搬出を独断で行う

・電気や水道を止めるなどの実力行使をする

そのうえで、次のように法的手続きを前提として進めます。

・明渡し請求訴訟や強制執行を見据え、法律の専門家に相談する

・やりとりを第三者がわかりやすいよう記録する

賃貸契約解除は、通知を出して終わる業務ではありません。最終的に明渡しが完了するところまで見据えて業務を進めましょう。

賃貸契約解除後の空室対策とオーナー対応

オーナーに報告する管理会社

賃貸契約解除後は、空室対策とオーナー対応の初動が重要です。募集開始を早め、今後の見通しを整理してオーナーに伝えることで信頼低下を防ぎやすくなります。

解除後の空室期間を短縮する方法

賃貸契約解除後は、入居者の退去が確定した段階で、退去完了を待たずに原状回復や入居者募集の準備を進めることが大切です。次の内容を着実に進めましょう。

・原状回復の工事会社に早めに連絡し、施工期間を確定する

・周辺相場や反響の状況を見て家賃を調整する

・募集条件のたたき台を作成する

・物件コメントや図面を用意する

とくに注意すべきなのは、繁忙期の原状回復工事の手配です。この時期は工事会社の予定が埋まりやすく、連絡が遅れると施工期間が後ろ倒しになります。その結果、原状回復工事の完了が遅れ、集客や内見対応の開始にも支障が出ます。

賃貸契約解除後の空室対策では、工事会社への連絡を優先度の高いタスクとして扱うことが重要です。

オーナーへの報告と信頼関係を維持する方法

賃貸契約解除の前後は、オーナーの不安が高まりやすい時期です。空室による収益の低下に加え、原状回復費用の発生も見込まれるためです。こうした不安をやわらげるには、管理会社によるスピーディーな対応が重要です。

なるべく早い段階で、次の内容をオーナーに連絡・報告・相談しましょう。

・解約理由

・退去日

・原状回復の工事完了予定日や見積り

・募集家賃と募集条件

これらをオーナーに伝えるときは、結論だけでなく判断材料も添えましょう。たとえば、「家賃を据え置く案」と「見直す案」を示し、それぞれの収益性や成約の見込みを伝えます。そうすることで、オーナーが判断しやすくなります。

賃貸契約解除業務を効率化する運用体制

情報を社内で共有

賃貸契約解除の業務を全社的にスムーズに進めるには、担当者の経験だけに頼らない運用体制が有効です。書式の統一・ノウハウ共有・外部専門家との連携によって、対応の遅れや判断ミスを防ぎやすくなります。

テンプレートの活用

賃貸契約解除に関する業務を効率化するには、テンプレートの整備が効果的です。案件ごとに文面や確認項目を一から作成すると、時間がかかるうえ、情報漏れも起こりやすくなります。あらかじめ次の書面のテンプレートを用意しておけば、担当者ごとの差も抑えられます。

・賃貸借契約解除通知書

・解約受付書

・退去案内書

・オーナーへの報告書

また、テンプレートは作って終わりではありません。実際の現場で使いながらフィードバックを集め、改善を重ねることで、より使いやすく精度の高いものになります。

業務フローの整備

賃貸契約解除に関する業務のマニュアル化は、対応のばらつきや抜け漏れを防ぎ、効率化に役立つでしょう。

業務フローの整備により、担当者ごとの進め方が統一されるため、解約受付・オーナー報告・募集準備などをスムーズに進めやすくなるからです。また、引き継ぎもしやすくなり、経験の浅い担当者でも一定の水準で対応しやすくなります。

賃貸契約解除の業務マニュアルの作成の大きな流れは、次のとおりです。

1.業務の流れを整理する

解約受付から退去・オーナー報告・原状回復・再募集までの流れを洗い出し、整理します。

2.業務の内容を明確にする

各工程で「誰が」「いつ」「何をするか」を明確にします。

3.社内共有する

社内で使いやすい形態(GoogleドライブやNotionなど)で情報を共有します。

弁護士・司法書士との連携

賃貸契約解除の業務では、弁護士や司法書士との連携も重要です。なぜなら、裁判になってから専門家を探すと、初動が遅れ、対応が長引きやすくなるからです。日頃から不動産に強い専門家と情報共有しておけば、必要なときにスムーズに対応できます。

たとえば、次のような場面で連携が必要になります。

・家賃滞納が長期化している

・明渡し交渉が進まない

・内容証明の送付が必要

・訴訟や強制執行を検討している

・入居者が所在不明になった

問題が大きくなる前に動ける体制を整えておくことが、オーナーの損失拡大の防止につながります。

賃貸契約解除後の空室期間を短縮しよう

タイパ向上

賃貸契約解除後の空室期間を短縮するには、解約受付・原状回復・入居者募集を効率化することが大切です。次の改善によって、対応の遅れや機会損失を抑えやすくなります。

・テンプレートの整備

・マニュアル化

・募集準備の前倒し

合わせて、集客力のある不動産ポータルサイトを活用すれば、空室期間の短縮が期待できます。とくに地域密着型の中小企業には、「不動産連合隊」の活用も効果的です。各エリアの活用事例は、以下よりダウンロードできます。ぜひご活用ください。

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賃貸契約解除に関するよくある質問

賃貸借契約解除通知書のひな形をそのまま使っても問題ありませんか?

賃貸借契約解除通知書の内容は、契約内容や解除理由によって変わってきます。通知書のひな形をそのまま使うのは避けましょう。ひな形はたたき台として使い、契約書の内容や実際の事情に合わせて修正することが重要です。

賃貸契約解除を書面ではなく口頭で伝えても有効ですか?

口頭でも、賃貸契約解除の意思表示はできます。ただし、口頭だと後から言った言わないの争いになりやすいため、実務では危険です。通知日や内容を記録できるよう、書面やメールで記録を残す方法が適しています。

賃貸借契約解除通知書は、内容証明による送付が必須ですか?

賃貸借契約解除通知書は、普通郵便でも送付できます。ただし、後日のトラブルを防ぐためには、内容証明での送付がおすすめです。相手方が「受け取っていない」と主張する可能性があるため、通知した事実を確実に残せる方法を選ぶことが大切でしょう。

入居前でも賃貸契約解除はできますか?

入居前でも、借主からの賃貸契約解除が認められることはあります。ただし、契約が成立していれば、自由に取り消せるとは限りません。契約書の内容や解除の理由によって、違約金や損害負担が生じる可能性もあるため、個別の確認が必要です。

賃貸借契約解除合意書は、どのようなときに必要ですか?

賃貸借契約解除合意書は、家主と入居者が合意して契約を終了する際に作成します。この書面で退去日・原状回復費用・精算方法などを明確にしておけば、後のトラブル防止に役立ちます。

ラルズネット編集部
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