
賃貸物件のホームステージング術|効果と失敗を避けるためのポイント
ホームステージングは、賃貸物件の成約率を高め、空室期間を短縮するのに有効な手段です。不動産会社が取り扱う賃貸物件にステージングを導入することで、競合他社との差別化を図り、成約率を高めることが可能でしょう。
このコラムでは、賃貸物件のホームステージングの効果や費用について、よくある失敗例などについて解説します。また、記事後半では、ステージングを成功させるためのチェックリストもご紹介しますのでぜひ、ご活用ください。
目次[非表示]
- 1.ホームステージングとは?押さえておきたい基礎知識
- 2.賃貸物件にホームステージングを行ったときの効果
- 3.ホームステージングの費用の目安と出費を抑える方法
- 3.1.賃貸物件のホームステージング費用の目安
- 3.2.ステージング費用を抑える方法
- 4.賃貸物件のホームステージングの実践ポイント
- 4.1.入居者像を設定する
- 4.2.賃貸物件の長所を活かす
- 4.3.第一印象に配慮する
- 4.4.空間に合ったステージングを行う
- 4.5.リビングルーム
- 4.6.キッチン
- 4.7.寝室
- 4.8.バスルーム
- 5.賃貸物件のホームステージングの失敗例と対策
- 5.1.入居者像と演出が合致しない
- 5.2.インテリアに統一感がない
- 5.3.過度に個性的な演出をしてしまう
- 5.4.部屋の広さを無視した演出をしてしまう
- 6.賃貸物件のステージング成功のためのチェックリスト
- 7.ステージングで賃貸物件の成約を効率的に獲得!
ホームステージングとは?押さえておきたい基礎知識
ホームステージングとは、物件を売却または賃貸する際に、その物件を魅力的に見せるための手法のことを指します。その具体的な内容や3種類のステージングについて確認しましょう。
ステージングをすることで、空室期間の短縮化が可能に
ホームステージングは、以下の方法で物件の魅力を引き出します。
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賃貸物件にホームステージングをすることで、見込み顧客に対して以下のような効果が得られます。
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これらの相乗効果で、ホームステージングをした賃貸物件は集客効果が高まり、空室期間の短期化が可能となります。
3種類のホームステージング方法がある
不動産会社がホームステージングをする場合、以下の3つの選択肢があります。
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1つ目の「専門会社や有資格者に依頼する」は、プロの技術により、レベルの高い演出が期待できます。2つ目の「自社でホームステージングをする」は、社内でノウハウを確立したい場合に向いているでしょう。
そして、3つ目の「バーチャルホームステージングを利用する」については、「費用を抑えたい」「物件情報を迅速に発信したい」という不動産会社にオススメです。バーチャルホームステージングとは、空室状態の写真にデジタル処理で家具やインテリアなどを配置する技術です。実物を購入・レンタルする必要がない分、費用を抑えやすいメリットがあります。
【関連記事】ホームステージングの完全ガイド|不動産の賃貸や売却に活用できる基礎知識
賃貸物件にホームステージングを行ったときの効果
賃貸物件にホームステージングをすることで、大半の不動産会社が効果を実感しています。
日本ホームステージング協会が発行した「ホームステージング白書2023」で、不動産賃貸の業務を行う会社に対し、ホームステージングの効果を聞いたところ、92.9%が「効果があった」と回答しました。(非常に効果があった55.4%、少し効果があった37.5%の合計)。
さらに、具体的にどのような効果があったのかについて聞くと、以下のような結果になりました。とくに、「閲覧数」と「成約までの期間」では、8割以上が効果を感じています。
項目 |
回答結果 |
閲覧数 |
増えた83.7% |
問合せ数 |
増えた76.7% |
内覧者数 |
増えた73.3% |
内覧時間 |
長くなった67.9% |
成約までの期間 |
短くなった82.1% |
出典:一般社団法人 日本ホームステージング協会「ホームステージング白書2023」
ホームステージングの費用の目安と出費を抑える方法
賃貸物件にホームステージングをした場合、家具やインテリアなどのレンタル・購入の費用や専門会社の利用料金などがかかります。ここでは、ホームステージングの費用の目安と費用を抑える方法をご紹介します。
賃貸物件のホームステージング費用の目安
「ホームステージング白書2023」によると、賃貸物件でホームステージングにかけた平均金額は、「3万円から5万円未満」「5万円から10万円未満」が最多です。(いずれも回答率38.2%・複数回答可)。
一般的に、家賃が高い物件には、ホームステージングの費用をかけやすいと考えられます。一方で、空室期間の長い築古物件のような物件にこそ、それなりの費用をかけてフォローしなければならないという考え方もあります。
いずれにしても、「ホームステージングでは費用対効果が重要」という点には留意しましょう。
ステージング費用を抑える方法
限られた予算内で、ホームステージングによる最大限の効果を得るためには、創意工夫や柔軟な発想が求められます。費用を抑える方法は以下の通りです。
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また、バーチャルホームステージングのサービス利用で、リアルなホームステージングよりも費用を抑えることが可能です。
【関連記事】バーチャルホームステージングで成約率を高める!費用や成功事例を紹介
賃貸物件のホームステージングの実践ポイント
賃貸物件にホームステージングをすることで、迅速かつ適正な家賃で契約を獲得しやすくなります。効果的なホームステージングの実践ポイントは、「入居者像を設定する」「賃貸物件の長所を活かす」「第一印象に配慮する」の3つ。これらの詳細を確認していきましょう。
入居者像を設定する
賃貸物件でのホームステージングを成功させるためには、まず入居者像(ペルソナ)を明確に設定することが重要です。入居者像とは、「理想的な入居者のプロフィール」を指します。入居者像は、以下の要素を考慮して設定するとよいでしょう。
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賃貸物件の長所を活かす
ホームステージングをする際は、対象となる賃貸物件の長所に着目し、そこを伸ばすような演出を考えましょう。どのような物件にも、長所は必ずあります。
たとえば、築古の賃貸物件であれば、昭和レトロの演出でホームステージングを行い、風合いを活かす手も。また、バルコニーから見える景色が美しい賃貸物件であれば、それを活かしてプランニングするといった具合です。
第一印象に配慮する
賃貸物件のホームステージングでは、第一印象(玄関周辺)にこだわりましょう。内覧者が玄関に入った時点で「この物件は雰囲気が悪いので候補からはずそう」と感じてしまうと、室内のホームステージングがいくら素晴らしくても、マイナスの印象を覆すのは困難です。
第一印象を高めるためのホームステージングの一例は以下の通りです。
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これらに加えて、「ドアの汚れを落とす」「新しいインターホンに交換する」などの施策を組み合わせると、より第一印象が高まります。
また、玄関周辺にウィークポイント(例:壁のシミや床の傷など)がある場合は、存在感のあるインテリアを配置して視線をそらすなどのテクニックも効果的でしょう。
空間に合ったステージングを行う
賃貸物件のホームステージングを成功させるためには、部屋ごとに適切なステージングを施すことも重要です。以下は、その一例です。
リビングルーム
リビングは長い時間を過ごす空間のため、居心地を気にする人は多いでしょう。空間にグリーンがあると、リラックスできる印象が強まります。ただし、本物の観葉植物を置くと手間がかかるため、フェイクグリーンで癒やしの空間を手軽に演出しましょう。
リビングは空間が広いため、インテリアの数が少ないと寂しい印象になりがち。だからといって大型家具を置くと予算が高くなるため、低価格のローテーブルを活用すると良いでしょう。卓上にティーセットを置くだけで雰囲気が出ます。
キッチン
キッチンは、機能性と清潔感がポイントです。おしゃれな調理器具や食器などを配置することで、実用的でありながら魅力的な空間を演出できます。
寝室
寝室では、リラックスできる雰囲気が重視されます。落ち着いた色合いの寝具を選ぶことで、穏やかな印象に。また、ベッド脇にミニデスクやチェストを配置し、空間の効率的な活用を提案することで、実際に生活したときのイメージを醸成できます。
バスルーム
バスルームも寝室と同様、リラックスできる空間を演出することがポイントです。タオルやバスグッズなどのアイテム選びに加えて、アロマデューフューザーやポプリなどの香りによって、リラックスできる空間を演出するのも良いかもしれません。
このように、各部屋に合ったホームステージングを行うことで、物件全体のイメージが高まり、内覧者の心をつかむことが可能になります。
賃貸物件のホームステージングの失敗例と対策
ホームステージングは賃貸物件の効果的な集客手段ですが、誤ったアプローチを取ると逆効果になることがあります。ここでは、よくある失敗例とその対策について解説します。
入居者像と演出が合致しない
たとえ入居者像を設定しても、それと合わない演出をしてしまうと、共感を得ることはできません。たとえば、一般的なファミリー向けの賃貸物件にもかかわらず、スタイリッシュで個性的な演出をしてしまうと、入居者像と演出の間にミスマッチが生まれてしまいます。
対策としては、ターゲットが好むインテリアやライフスタイルをしっかりリサーチすることです。その内容に沿ってホームステージングを進めていけば、ミスマッチのリスクが低くなります。
インテリアに統一感がない
ホームステージングの初心者がやりがちな失敗は、インテリアに統一感がないというものです。たとえば、テーブルやカーテンはナチュラルな雰囲気、そのほかの家具はスタイリッシュなデザインだと内覧者が違和感をおぼえてしまいます。
ホームステージングの際にカラーや素材感を揃えると、統一された空間になりやすいので意識してみましょう。
過度に個性的な演出をしてしまう
内覧者が部屋を見た際、自身のライフスタイルとかけ離れた演出になっていると、印象が悪くなることがあります。
対策としては、万人受けするカラーやシンプルな家具を選び、誰もが親しみやすい空間をつくるのが有効。ターゲットに合った演出をしつつも、多くの人に受け入れられる演出という視点も大切です。
部屋の広さを無視した演出をしてしまう
物件の広さを考えずにホームステージングをしてしまう失敗もあります。一例では、手狭な部屋に大きな家具を置くと、スペースが狭く見えることも。また、家具やインテリアの配置が不自然だと、内覧者が部屋のサイズ感を誤解しやすくなります。
この失敗を回避するため、適切なサイズの家具やインテリア選びにこだわりましょう。合わせて、空間を広く感じさせるレイアウトにすることも重要です。
賃貸物件のステージング成功のためのチェックリスト
ここまでの内容で、賃貸物件のホームステージングの基本についてはご理解いただけたのではないでしょうか。しかし、いざホームステージングを実行してみると、意外に難しいものです。ビギナーの方は、以下のチェックリスクを活用することで、抜けや漏れを防止しやすくなります。
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ステージングで賃貸物件の成約を効率的に獲得!
ホームステージングは、賃貸物件の魅力を引き出し、その価値を見込み顧客に感じてもらうために効果的な手法といえます。
ホームステージングを活用することで、物件の入居率を上げるだけでなく、適切な賃料の維持や空室期間の短縮にも貢献。とくに、賃貸物件の競争の激しいエリアや、空室率が高いエリアでは差別化の手段としてステージングの効果が期待されます。
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