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不動産投資の出口戦略|価格上昇時に検討すべき最適な売却手法とは?

不動産投資家にとって出口戦略を考えることは重要です。不動産市場は常に変動しているため、適切なタイミングでの売却が出口戦略のカギといえるでしょう。近年、全国主要都市では不動産価格が上昇し続けており、収益物件の売却において戦略的なアプローチが求められています。

今回は、不動産投資における出口戦略の重要性や、価格上昇時にどのように資産を売却すれば最大限の利益を確保できるのかなどを詳しく解説します。ぜひ参考にしてみてください。

目次[非表示]

  1. 1.不動産市場の現状
    1. 1.1.利回りの低下とその影響
  2. 2.価格上昇時の出口戦略
    1. 2.1.キャピタルゲインを狙う
    2. 2.2.全期間利回りの視点を持つ
    3. 2.3.利回りギャップを活用する
  3. 3.今後の展望と投資家の対応策
  4. 4.出口戦略や売却方法を考慮して不動産投資をしよう!

不動産市場の現状

不動産市場の現状

現在、首都圏(東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県)をはじめ、札幌市、仙台市、名古屋市、大阪市、福岡市などの主要都市で不動産価格が上昇中です。不動産価格が上昇する背景には、低金利政策の継続や人口の都市部集中に加え、インフレ懸念による実物資産への需要増加といった要因が関係しています。

とくにマンション市場では価格の上昇が顕著です。国土交通省が公表した「不動産価格指数(住宅)」によると、2008年から2024年1月までのデータにおいて、マンション価格が大幅に伸びていることが明らかになっています。一方で、戸建住宅や住宅地も値上がり傾向にあるものの、マンションほどの急激な変化は見られません。近年は、横ばいの状態が続くケースも増えています。

利回りの低下とその影響

不動産価格が上昇すると、投資家が期待する利回りは低下する傾向にあります。日本不動産研究所の資料によれば、2014年から2019年にかけて主要都市の利回りは約1%下がり、2019年から2023年の間にはさらに0.5%の低下が見られました。利回り低下の背景には、アベノミクスやコロナショックといった経済的な影響が関係しています。今後も不動産価格の高騰が続く場合、利回りの低下は避けられないでしょう。

価格上昇時の出口戦略

不動産価格が上昇した際は、以下の出口戦略が有効です。

  • キャピタルゲインを狙う
  • 全期間利回りの視点を持つ
  • 利回りギャップを活用する

それぞれの出口戦略を解説します。

キャピタルゲインを狙う

価格上昇局面では、インカムゲイン(家賃収入)だけでなく、キャピタルゲイン(売却益)を狙う投資戦略が重要になります。たとえば、東京都中央区にある2019年築の分譲マンション(44.6㎡)では、2022年に6,900万円で購入されたあと、2024年には8,400万円で売却されました。2年間で1,500万円のキャピタルゲインを得ています。このように、適切な物件選定と市場動向を見極めることで、短期間で大きな利益を得られる可能性があるでしょう。

また、都市部だけでなく、地方都市においても同様の事例が見られます。名古屋駅前のマンション(60㎡)では、2015年に新築で3,950万円で購入されたあと、2021年には4,180万円で売却されました。このようなケースでは、地方都市でも需要が高まり、不動産価格が上昇していることを示しています。

全期間利回りの視点を持つ

全期間利回りの視点を持つ
一般的に不動産投資では、表面利回り(年間家賃収入÷購入価格)が注目されます。しかし、価格上昇局面では全期間利回り(購入から売却までの総収益÷投資期間)を重視することが大切です。たとえば、先ほどご紹介した東京都中央区の事例(2022年に6,900万円で購入、2024年に8,400万円で売却、2年間で1,500万円のキャピタルゲイン)で見てみましょう。

初期投資

-1,173万円

年間キャッシュフロー(1年目)

14万2,177円

年間キャッシュフロー(2年目)

14万2,177円

物件を売却した金額からローン残債を引いた金額

2,157万円

全期間利回り(IRR)

23.3%

※2年間保有して売却した場合

初期投資が1,173万円(物件の頭金等の諸経費)になっており、キャッシュフローとしては年間14万ちょっととなっています。キャピタルゲインを得ることができているため、物件を売却した金額から ローンの残債を引いた金額が2,157万円。表面利回りとして4%ちょっとの投資ではあるものの、全期間利回りで見た時には23.3%のパフォーマンスを出せています。

このような視点で物件を評価することで、より高い収益を実現できるでしょう。

利回りギャップを活用する

市場の動向に応じて、利回りのギャップを活用する戦略も有効といえます。たとえば、利回り5.5%で購入した物件を4.5%で売却すれば、価格上昇による利益が期待できるでしょう。近年、都内では主要駅周辺の物件を中心に、このような売却手法が広がりを見せています。

今後の展望と投資家の対応策

今後も不動産価格は高水準を維持すると考えられるものの、金利政策や経済動向によっては調整局面に入る可能性もあります。投資家は市場の変化を捉えつつ、状況に応じた出口戦略を立てておく必要があるでしょう。長期的な安定収益を確保するためのポイントは、以下のとおりです。

  • 賃貸需要が旺盛なエリアを選定し、安定した収益を確保する
  • 適切なタイミングで売却を検討し、最適な資産運用を行う
  • 物件の立地や管理状態を最適化し、資産価値の維持・向上を図る

また、短期的な市場の変動だけでなく、中長期的な視点での資産運用も不可欠です。売却時期を見極めるには、過去の市場データや今後の経済動向を分析することが重要であり、専門家の意見を取り入れることも有効でしょう。市場の動向を注視しながら、柔軟な対応を心がけることが、不動産投資の成功につながります

出口戦略や売却方法を考慮して不動産投資をしよう!

出口戦略や売却方法を考慮した不動産投資戦略を立てよう!

不動産価格が上昇している局面では、キャピタルゲインを狙う投資戦略が有効です。表面利回りではなく全期間利回りを考慮しながら、成長エリアの物件を選定し、適切なタイミングで売却することが重要となります。
また、市場の動向を的確に把握しながら利回りギャップを利用することで、より高い収益を実現できるでしょう。不動産市場の変化に対応しながら最適な出口戦略を立て、長期的な資産形成を見据えた投資判断を行うことが、安定的な収益を生みだすポイントです。

ラルズネット編集部
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