
【2050年】不動産市場の展望と人口激減時代に備える未来戦略
日本の不動産市場は、ここ10年で大きく変化しました。人口減少や高齢化、そして不動産価格の上昇は、今後の市場を考える上で避けて通れません。不動産市場は、2050年に向けて一律に下落するのではなく、エリアによって価値が二極化していくでしょう。本記事では、未来の不動産市場の動向と、不動産選びで重要な2つのポイントを解説します。
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2025年、不動産市場の現状と過去10年の変化
日本の不動産市場は、ここ10年だけでも、以下の変化がありました。
人口減少と高齢化 | 日本では人口減少が顕著 「人口の30%以上が65歳以上」と高齢化が加速 |
不動産価格と築古物件 | マンション:建築資材価格や人件費などの物価上昇による値上がり継続で、不動産価格全体が上昇傾向(とくに都市部) 築古物件:築20年以上の物件(とくに戸建て)が不動産全体の60%以上 |
災害リスク | 以前よりも集中豪雨や線状降水帯といった災害リスクが増加 南海トラフ地震などの地震リスクも依然として存在 |
これらの変化は、今後の不動産市場の展望を考える上で避けては通れない要素です。
2025年の不動産市場展望は人口動態が鍵を握る
不動産業界は、人口動態の影響を最も強く受けるビジネスの一つです。国土交通省の「今後の社会・経済情勢の変化」によると、2050年の日本全国の総人口は約25.5%減少すると予測されています。一方で、日本全体で約2%の人口増加エリアが存在するという興味深いデータも示されています。詳細を見ていきましょう。
人口増加が顕著な東京とその周辺
人口増加エリアは、主に東京周辺や大阪周辺などの都市部に集中しています。とくに東京では、2050年には東側で人口増加が顕著になると予測されており、23区は全国的に見ても人口増加エリアの多さが特徴です。東京都心3区(中央区、千代田区、港区)では、2050年までに30%以上の人口増加が予測されており、国内外から高い不動産購入需要が見込まれる手堅いエリアとなります。
地方都市における人口集積エリア
東京以外の首都圏(埼玉、千葉、神奈川、茨城、栃木、群馬の一部)や北海道の札幌周辺など、特定の地方都市でも人口の増加するエリアが存在します。東京に人が集まるように、各地方都市内でも人の集まる場所があり、これらのエリアでは不動産価格が今後も上昇するでしょう。
未来の不動産価格動向と需要が高い場所
今後の不動産市場において重要なのは、「エリアすべてが人口減少するわけではない」という点です。日本全国に人の集まる政令指定都市があるように、各市区町村単位でも人が集まる場所は存在します。今後の不動産市場は、需要が高い場所の価格が維持・向上し、需要の低い場所から徐々に価格が下落していくでしょう。
過去のバブル崩壊やリーマンショックのような都市部から一気に価格が下落する事態は、よほどのことがない限り起こりにくいと考えられています。とはいえ、10年以上長期保有を前提に不動産を取得する際は、東京圏や名古屋圏のような「人口増加エリアであるかどうか」が重要なチェックポイントとなるでしょう。
増加エリアの見極め方
増加エリアには、以下のような特徴があります。これらの特徴を持つ地域は、今後も人口増加が見込まれ、不動産価値の維持・向上に繋がりやすいでしょう。
ターミナル駅、企業・工場、大学・研究都市の近郊 | 働く人や学生が増える |
都市部のベッドタウンとリゾート・観光地 | 利便性の高さにより人が集まりやすい |
主要商業施設の周辺 | 利便性に加えて、人を呼び込む施策が実施している |
これらのポイントをチェックし、将来的に需要が見込めるエリアを選択することが賢明です。
不動産選びで大切な2つの要素「ロケーションとタイミング」
不動産において最も重要とされるのは、「ロケーション(立地)」と「タイミング」です。アメリカの不動産業界団体IREM JAPANでは、ロケーションが最も大切だと強調されています。需要があるエリア、人口が増えるエリアを選ぶことが、不動産選びや所有において重要です。
また、不動産価格の値動きを常に注視し、適切なタイミングで売買することも重要と考えられます。価格が上がり続けている今、自身の目標や状況を考慮しつつ、価格をしっかりチェックして適切な判断(購入や売却)を行うことが求められます。
「不動産業ビジョン2030」が示す未来と仲介業の役割
不動産仲介会社は、円滑な不動産取引を実現する上で重要な役割を担っており、その多くは地域密着型の中小規模事業者によって占められています。このことから、不動産仲介業は地域社会において必要不可欠です。国土交通省が2019年に提言した「不動産業ビジョン2030」から、不動産仲介業の役割についてピックアップして解説します。
高齢化、相続増加、空き家問題への対応
日本は今後、高齢化進展や相続増加、人口減少に伴う空き家・空き地対策など、さまざまな問題に直面します。すべてのエリアで不動産市場が好調ではない中で、地域に根差して事業を継続していくためには、これら問題への対応が必要です。
「地域の守り手」としての地域活性化支援
不動産仲介会社には、地域のニーズにきめ細かく対応する「地域の守り手」として、エリア価値を上げ地域活性化につなげる存在として期待されています。厳しい状況のエリアがある中でも地域に貢献し、その価値を高めていくことが大切です。2050年の未来を見据えつつ、まずは5年後の「不動産業ビジョン2030」の実現に向けて、地域に根差した貢献が求められる時代となるでしょう。
まとめ|二極化する不動産市場、仲介業は「地域の守り手」へ
2050年の不動産市場は、人口減少・高齢化が進む一方で、東京圏や地方都市の一部では人口が増加すると予測されています。この変化に対応するためには、不動産の「ロケーション(立地)」と「タイミング」が重要です。人口増加が見込まれるエリアは、不動産価値が維持・向上しやすく、ターミナル駅や商業施設周辺が、その特徴に当てはまります。
今後は、エリア全体で一律に不動産価格が下落するのではなく、需要の高いエリアと低いエリアで二極化が進むでしょう。常に不動産価格の動向に目を向け、適切なタイミングを逃さないことも大切です。
また、地域に根差した不動産仲介業は空き家問題などへの対策を行い、エリアの価値を高める「地域の守り手」としての役割を果たすことが求められます。