
不動産投資分析を徹底解説!基礎から具体的な分析方法を学ぼう!
不動産投資を成功させるには、正確な投資分析が欠かせません。しかし、適切な不動産投資分析の基礎や手法がわからず、顧客への提案に悩んでいる不動産会社も多いのではないでしょうか。投資家を顧客に抱える不動産会社にとっては、投資分析の基礎や具体的な方法を理解しておくことが大切です。
本記事では、以下の内容を解説します。
不動産投資分析の基礎や具体的な分析手法を学ぶことで、顧客からの信頼性の向上や他社との差別化につながる可能性があります。ぜひ参考にしてみてください。
目次[非表示]
不動産投資の基本~3つの利回りとは?~
動産投資では「物件の利回り」「投資家の利回り」「銀行の利回り」の3つが重要です。不動産投資分析の実例で活用するため、まずは3つの利回りを解説します。
物件の利回り(表面利回り・実質利回り)
物件の利回りは、購入した物件の収益性を示す利率です。物件の利回りには「表面利回り」と「実質利回り」の2種類があり、それぞれの計算式は以下のとおりです。
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表面利回りは、単純に物件の年間収入を購入価格で割った利率です。たとえば、1,000万円で購入した物件の年間家賃収入が100万円であれば、表面利回りは以下のようになります。
表面利回り:100万円 ÷ 1,000万円 × 100% = 10% |
実質利回りは、必要経費(管理費や修繕費など)を差し引いた年間家賃収入に対して購入価格で割った利率です。たとえば、年間家賃収入が100万円の物件で年間経費が20万円かかる場合、実質利回りは以下のとおりです。
実質利回り:(100万円 - 20万円) ÷ 1,000万円 × 100% = 8% |
実質利回りは必要経費を含めて計算しているため、表面利回りよりも精度の高い数値になります。そのため、表面利回りだけを確認するのではなく、実質利回りにも注目するのがポイントです。
投資家の利回り
投資家の利回りは、自己資金の割合に対する収益性を示す利率です。不動産投資では、単純に物件の収益性を比較するだけでなく、自己資金の割合に対する収益性を確認することが不可欠といえます。どれだけ物件の利回りが良くても、自己資金の割合が多ければ効率の良い不動産投資とはいえないでしょう。そのため、多くの不動産投資家が注目すべき利回りです。
投資家の利回りは、以下の計算式で算出できます。
投資家の利回り= 年間キャッシュフロー(経費 + ローン返済額) ÷ 初期投資額 × 100 |
たとえば、自己資金100万円で1,000万円の物件を購入して年間の経費が20万円かかる場合、投資家の利回りは以下のとおりです。
投資家の利回り = 80万円 ÷ 1,000万円 × 100 = 8% ※年間キャッシュフロー:100万円 - 20万円 = 80万円 |
投資家の利回りも実質利回り同様に、表面利回りよりも重要視されていることを覚えておきましょう。
銀行の利回り
銀行の利回りとは、金融機関が融資を通じて不動産に投資した場合に、その融資に対してどれだけのリターン(返済)が得られるかを示す利率です。
銀行の利回りは、以下の計算式となります。
銀行の利回り = 年間返済額 ÷ 融資額 |
たとえば、銀行が1,000万円を融資し、投資家がその融資に対して毎年120万円を返済している場合、銀行の利回りは以下のとおりです。
銀行の利回り = 120万円 ÷ 1,000万円 = 12% |
銀行の利回りは「実質利回り・投資家の利回り」と比較することで、投資におけるレバレッジ効果(借入による収益性の上昇)を分析する材料にもなります。
正のレバレッジと負のレバレッジの概念
不動産投資における「レバレッジ」とは、借入(融資)を活用して投資効率を上げる仕組みのこと。レバレッジの効果には「正」と「負」があり、それぞれの特徴は以下のとおりです。
種類 |
特徴 |
正のレバレッジ |
融資を使うことで、現金購入よりも効率的に資産を増やせている。 状態:投資家の利回り > 実質利回り > 銀行の利回り |
負のレバレッジ |
融資を使ったことで、現金購入よりも投資効率が下がってしまっている。
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3つの利回りを比較することで、投資効率やリスクを数値により判断できます。借入を行う際は、「正のレバレッジ」が成立するかを見極めることが重要です。このような提案を顧客に行うことで、他社との差別化につながります。
不動産投資分析に必要なツールと資料
不動産投資分析に力を入れている会社では、「REIFA(以下、リーファ)」を導入している傾向にあります。リーファの主な特徴は、以下のとおりです。
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リーファを使用するにあたり、不動産投資分析の基本である「キャッシュフローツリー(家賃収入の流れ)」を見てみましょう。キャッシュフローツリーは、7つの項目から成り立っています。以下は、家賃収入の流れを表したキャッシュフローツリーです。
キャッシュフローツリー |
詳細 |
1. 総潜在収入 |
GPI(満室時の家賃収入) |
2. 空室損・未回収損 |
実際に回収できない損失 |
3. 実行総収入
(総潜在収入 - 空室損・未回収損)
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EGI(実際に得られる家賃収入) |
4. 運営費 |
OPEX(管理費・修繕費などのランニングコスト) |
5. 営業純利益
(実行総収入 - 運営費) |
NOI(物件の収益) |
6. 年間返済額 |
ADS(銀行への年間返済額) |
7. 年間手取り収入
(営業純利益 - 年間返済額) |
BTCF(最終的なオーナーの利益) |
また、不動産投資分析に必要な資料とチェックポイントに関しては、以下のとおりです。
資料 |
チェックポイント |
販売図面、物件概要書 |
販売価格・利回りなど |
レントロール |
各戸㎡ |
固定資産税評価証明書 |
土地・建物割合、固都税額 |
謄本一式 |
公図で隣地をチェック |
修繕履歴 |
大規模修繕工事や漏水履歴など |
運営費履歴 |
設備が多い場合は要チェック |
次は、不動産投資分析の流れを見てみましょう。
不動産投資分析ツールを利用する際の流れ
以下の物件データをもとに、リーファで不動産投資分析を行う際の流れをご紹介します。リーファで不動産投資分析を行う流れは、以下のとおりです。
流れ |
項目 |
1. 物件情報の入力 |
販売図面に記載されている名称、所在地、土地・建物面積、構造、階数、築年数、レントロール記載の賃貸可能面積(各戸合計面積) |
2. 購入価格、割合、諸費用の入力 |
購入価格、土地割合(評価証明書に基づく割合)・建物割合(建物70%、附属設備30%が目安)、仲介手数料や登記費用などの諸費用(物件価格 × 7%が目安) |
3. 実行総収入の入力 |
1年目の総潜在収入(レントロールの満室想定賃料)、総潜在収入の年次上昇率(都心-0.5%、地方-1~2%が目安)、年間空室率(都心3%、地方5~10%が目安) |
4. 運営費の入力 |
総潜在収入比(賃料の15~20%が目安)、年次上昇率(年間1%が目安) |
5. 融資条件の入力 |
LTV(借入金割合)、金利、期間、返済方式 |
6. 売却条件の入力 |
中長期保有の場合は「売却を想定しない」にチェック、税率(個人は所得税+住民税) |
すべて入力し終えたら、「分析結果を見る」をクリックすれば、6つのExcelシートが出てきます。これらのなかでも、提案に使うシートは主に以下の2つです。
【分析結果サマリー】 【ローン返済表】 |
リーファを活用した不動産投資分析であれば、手間を減らしつつも具体的な数値を通して顧客に提案できます。
不動産投資分析のポイント
今回ご紹介した不動産投資分析は、現役で働かれている方や詳細な数値を求める方(経営層や金融業界経験者など)から支持を受ける傾向にあります。一方で数字や専門用語に慣れていない方には、販売図面をもとに提案することが大切です。このように定量的かつ顧客の状況に合わせた提案をしていくことで、信頼性の向上や他社との差別化につながるでしょう。
不動産投資分析の提案で信頼性向上や差別化につなげよう!
不動産投資を成功に導くには、3つの利回り(物件・投資家・銀行)を理解し、比較することが重要です。また、レバレッジ効果を数値で把握することで、投資効率の高い物件を見極められるようになるでしょう。さらに、分析ツール「リーファ 」を活用すれば、複雑な計算も簡単に行え、顧客ごとにマッチする提案が可能になります。定量的かつ実践的な提案により、顧客の信頼を獲得しつつ他社との差別化を図っていきましょう。