
永住権なしで住宅ローンを組む6つのポイント|取扱銀行や条件も紹介
在留外国人が増加するなか、「永住権がないと住宅ローンは無理」と諦めてしまうケースは少なくありません。しかし、適切な銀行選びと対策を行えば、住宅ローンを組める可能性は十分にあります。
今回は、永住権なしでも住宅ローンが組めるのかという実態や、対応銀行、審査条件、不動産会社の対応方法まで解説します。外国籍顧客への提案にお悩みであれば、参考にしてみてください。
目次[非表示]
- 1.永住権なしでも住宅ローンを組むことは可能
- 2.永住権なしでも住宅ローンを組む6つのポイント
- 2.1.年収400万円・勤続3年以上の「安定性」がカギ
- 2.2.在留期間は残りの期間よりも「更新の確実性」を重視
- 2.3.契約内容を理解できる「日本語能力」は必須条件
- 2.4.日本人配偶者・永住者の連帯保証があれば有利に
- 2.5.カード延滞せず信用情報をクリーンに保つ
- 2.6.頭金を20%以上用意して本気度を示す
- 3.永住権なしでも住宅ローンが組める銀行や主な条件
- 4.永住権なしでも「フラット35」は利用可能?
- 4.1.フラット35とは?
- 4.2.「永住権なし」の場合は利用不可
- 5.永住権なしでもフルローンは組める?
- 6.永住権なしの住宅ローン金利事情
- 7.不動産会社が行うべき4つの対応
- 7.1.初回に「在留資格・有効期限・日本語能力」を確認
- 7.2.翻訳や銀行同行など手厚いサポートが不可欠
- 7.3.専門用語を噛み砕いた「やさしい日本語」資料を活用
- 7.4.提携銀行の「外国籍顧客の対応」を要確認
- 8.永住権なしでも住宅ローンが組めることを提案しよう!
- 9.永住権なしで住宅ローンを組む際によくある質問
永住権なしでも住宅ローンを組むことは可能

結論からいえば、永住権なしでも住宅ローンは組めます。ただし、さまざまなリスクへの懸念から利用できる金融機関が限定され、審査のハードルは高くなっています。まずは、永住権がないことで、どのようなデメリットがあるのかを見ていきましょう。
審査通過は可能でも利用できる金融機関は限定される
永住権なしの場合は、住宅ローンを利用できる金融機関が限定されます。多くの銀行が外国籍の方に対して慎重になるのは、帰国リスクや書類確認の手間・回収コストがあるためです。しかし、利用できる金融機関が限定されるとはいえ、住宅ローンが組めないわけではありません。
不動産会社としては「永住権がない=住宅ローンは無理」と決めつけるのではなく、対応可能な銀行を見極めて紹介することが大切です。そのうえで、審査に必要な条件を把握しておき、顧客が住宅ローンを組めるように情報共有しながら進めていきましょう。
永住権は「信用」の証|ない場合はどうする?
銀行にとって永住権は、「この方は日本で長期的に生活し続けるだろう」という信用に値する材料です。つまり、永住権が「返済継続の可能性」を示す強い根拠になっています。一般的には、住宅ローンを組む際に必要な要素として「年齢・年収・団体信用生命保険への加入」などが挙げられます。しかし、永住権がない場合は、他の要素でも補わなければいけません。
具体的には、「配偶者(日本国籍または永住許可あり)が連帯保証人であること」、「日本語の読み書きが理解できること」などです。不動産会社は、顧客の状況をヒアリングしながら「どの点で信用を得られそうか」を一緒に整理してあげると、金融機関への説明がしやすくなります。
参考:イオン銀行|住宅ローン(永住権なし) 商品概要説明書
SBI新生銀行|審査お申し込み条件
永住権なしでも住宅ローンを組む6つのポイント

永住権なしでも住宅ローンを組むためのポイントは、主に6つあります。銀行によって必須ではないものの、あれば有利になるポイントも含めて解説します。永住権なしでも住宅ローンを組めるように、不動産会社がポイントをおさえておきましょう。
年収400万円・勤続3年以上の「安定性」がカギ
永住権なしの場合は、目安として「年収400万円以上・勤続年数3年以上」といったラインを意識すると良いでしょう。実際は年収で100~400万円以上、勤続年数6か月~3年以上を設定している銀行が多く見られます。銀行によって基準は異なるものの、「永住権なし」というハンデを少しでも解消するためには、実際の基準よりも高い安定性が必要です。
在留期間は残りの期間よりも「更新の確実性」を重視
一般的な住宅ローンは、数千万円という金額を数十年かけて返済するため、「日本に長く住むつもりがあるのか」が重視されます。残りの在留期間はもちろんのこと、「今後も更新される見込みがあるかどうか」も重要です。正社員として長年勤めていたり、就労ビザの更新実績が複数回あったりするとプラスの材料になるでしょう。
契約内容を理解できる「日本語能力」は必須条件
住宅ローンの契約時には、専門用語や法律用語が多数出てくるため、内容を理解できるだけの日本語能力は必須です。銀行としては、「契約内容が理解されないまま署名・捺印されるリスクを避けたい」という考えがあります。日常会話レベルはもちろん、「金利、固定・変動、保証料、団体信用生命保険」などの単語をきちんと理解できるかどうかが問われます。
日本人配偶者・永住者の連帯保証があれば有利に
連帯保証人になってくれる配偶者(日本国籍または永住許可を持っている)がいることは、住宅ローンを組みたい永住権なしの方にとって有利です。銀行は返済が難しくなった場合に備えて、信用できる連帯保証人をつけることで、滞納リスクを下げられます。連帯保証人である配偶者が長く勤務していたり、安定した職業についていたりする場合、審査の印象は大きく変わるでしょう。
カード延滞せず信用情報をクリーンに保つ
延滞や強制解約などの履歴が残っていると、信用情報に傷がついてしまい、大きなマイナスになります。銀行は、クレジットカードやショッピングローンなどの支払履歴が確認できる「信用情報機関」のデータを必ずチェックします。一般的には、延滞後の完済から5年ほどは情報が残るため、注意が必要です。
頭金を20%以上用意して本気度を示す
物件価格に対して「20%以上の頭金」を用意することで、銀行に本気度が伝わりやすくなるでしょう。銀行が最も警戒するのは「帰国リスク」による貸し倒れです。十分な頭金が用意できれば、銀行の貸し倒れリスクは大きく下がるでしょう。結果的に、「しっかり貯蓄ができる人」「日本で長く暮らしていけそうな人」という好印象を与えられます。
永住権なしでも住宅ローンが組める銀行や主な条件

永住権なしでも住宅ローンが組める銀行は、少数ながらも存在します。ここでは、対応している銀行や主な条件を紹介します。永住権なしの方に住宅ローンを提案する際は、参考にしてみてください。
イオン銀行
年齢 | 主な条件 | 収入/勤続年数 | 融資限度額 | 融資期間 |
18歳以上71歳未満、完済時80歳未満 | 就労に制限のない在留資格、日本語理解が必要 | 給与所得者は6か月以上で前年度年収100万円以上、会社経営者・個人事業主は事業開始後3年以上で前年度所得100万円以上 | 1億円以内 (物件価格の20%以上の自己資金を使用すること) | 1年~15年以内(1か月単位) |
参考:イオン銀行
三井住友銀行
年齢 | 主な条件 | 収入/勤続年数 | 融資限度額 | 融資期間 |
18歳以上70歳まで、完済時80歳まで | 単独かつ日本語での意思疎通・契約書類理解が可能 | 具体的な年収や勤続年数の記載なし | 100万円~3億円以内 | 1年~39年11か月以内(1か月きざみ) |
参考:三井住友銀行
SBI新生銀行
年齢 | 主な条件 | 収入/勤続年数 | 融資限度額 | 融資期間 |
20歳以上65歳以下、完済時80歳未満 | 永住権がない場合は、配偶者の連帯保証が必要 | 前年度税込年収300万円以上の正社員または契約社員、自営業は2年平均300万円以上 | 500万円~3億円以下 | 5年~50年以内(1年単位) ※変動金利かつ住宅購入・建設資金の新規借入の場合 |
参考:SBI新生銀行
スルガ銀行
年齢 | 主な条件 | 収入/勤続年数 | 融資限度額 | 融資期間 |
18歳以上70歳未満、完済時85歳未満 | 日本語で商品・契約内容の説明が理解できること | 具体的な年収や勤続年数の記載なし | 30万円~6億円以内 | 一戸建ては1年~40年以内、マンション1年~50年以内 |
参考:スルガ銀行
あすか信用組合
年齢 | 主な条件 | 収入/勤続年数 | 融資限度額 | 融資期間 |
20歳以上60歳以下、完済時80歳以下 | 3年以上日本に在留、かつ在留期間3年以上の定住者等 | 同一勤務先2年以上勤務、または2年以上安定収入のある個人事業者 | 1億円以内(購入金額の80%以内) | 35年以内 |
参考:あすか信用組合
東京スター銀行
年齢 | 主な条件 | 収入/勤続年数 | 融資限度額 | 融資期間 |
25歳以上65歳以下、完済時75歳以下 | 日本在住で日本語(読み・書き)を理解できること | 正社員1年以上または会社役員・自営業3期以上、税込年収400万円以上(または300万円以上かつ正社員で40歳以下) | 500万円~1億円以内 | 1年~35年以内(1年単位) |
参考:東京スター銀行
永住権なしでも審査を行う銀行では、最低限の条件に加えて「在留期間・日本語能力・配偶者の連帯保証人の有無」などで判断します。不動産会社としては、実際に成約した事例を共有し、「どの条件なら通りやすいか」をパターン化しておくと提案しやすくなるでしょう。
永住権なしでも「フラット35」は利用可能?

住宅ローンのなかには、金利が固定されている「フラット35」があります。住宅ローンを検討する際に、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。ここでは、永住権なしの場合でもフラット35が利用できるのかを解説します。
フラット35とは?
フラット35とは、民間金融機関と住宅金融支援機構が提携して提供する住宅ローンです。フラット35を利用する主な特徴は、以下の通りです。
- 借り入れ時に完済までの金利と返済額が確定するため、将来の金利上昇リスクを心配する必要がなく、長期的なライフプランが立てやすい
- 「子育て世帯」や「質の高い住宅(省エネ・耐震など)」などの条件に応じてポイントが加算され、一定期間、借入金利が引き下げられる(最大で年1.0%の引き下げ)
- 万が一の際に住宅ローン返済が不要になり、身体障害や要介護状態をカバーするなどの保障もあり
※健康上の理由で加入できない場合でも、フラット35自体の利用は可能 - 返済中も専用Webサイト「住・My Note」から、残高照会や繰り上げ返済の手続きなどが簡単に行える
参考:フラット35|4つのメリット
金利上昇のリスクを負いたくない方、将来のライフプランを早めに立てたい方などは、フラット35の利用を検討してみると良いでしょう。
「永住権なし」の場合は利用不可
- 「出入国管理および難民認定法」の規定により永住許可を受けている方
- 「日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法」の規定による特別永住者の方
参考:フラット35|外国籍でも申し込みできますか。
外国籍の方は、通常の申し込み要件に加えて、「永住者」または「特別永住者」の資格が必須です。申し込み後に「永住者」または「特別永住者」の資格がないと判明した場合は、借入金の一括返済リスクがあることを覚えておきましょう。
永住権なしでもフルローンは組める?

永住権なしでもフルローンを組める可能性があります。永住権なしでも住宅ローンが組める銀行のうち、フルローンに対応しているかを見極めましょう。資金使途のなかに「諸費用(手数料、保険料、税金など)」が含まれている場合、フルローンに対応している可能性があります。
SBI新生銀行の「パワースマート住宅ローン」では、以下が諸費用として認められています。
- 住宅取得またはパワースマート住宅ローン契約時にかかる手数料
- 不動産会社への仲介手数料
- 各種税金
- 火災、地震保険料
- 修繕積立基金
- 管理準備金
- 上下水道加入負担金 など
フルローンを活用すれば、自己資金が少ない方でも住宅ローンを組みやすいでしょう。ただし、頭金を入れている方よりも、「借入金額=返済総額」が多くなる点には注意が必要です。
永住権なしの住宅ローン金利事情

永住権なしで住宅ローンを組んだときの金利は、一般的に高くなる傾向にあります。日本国籍や永住許可を持っている方が利用できる、三菱UFJ銀行の住宅ローン金利は、「変動0.670%~、固定(10年)2.260%~」です。
一方、東京スター銀行「スター住宅ローン(永住権なし外国籍の方用)」の金利は、「変動1.650%~、固定(10年)3.300%~」です。永住権なしの場合は、「帰国=貸し倒れ」のリスクがあるため、一般的な住宅ローンよりも金利が高くなることを理解しておきましょう。
※2025年12月時点
不動産会社が行うべき4つの対応

永住権なしの外国籍顧客に対して、不動産会社は4つのポイントをおさえて対応することが重要です。適切な対応を行うことで、起こり得るトラブルを事前に回避しやすくなります。ポイントをおさえつつ、永住権なしの外国籍顧客へ適切な対応を行いましょう。
初回に「在留資格・有効期限・日本語能力」を確認
永住権なしの外国籍顧客をサポートするうえで、不動産会社が最初に行うべきは「情報の整理」です。初回のヒアリング時に、在留資格の種類や在留カードの有効期限、日本語能力などを確認しましょう。ヒアリングした情報によって、紹介すべき銀行の候補や住宅ローン審査での注意ポイントが大きく変わります。
また、日本語があまり得意ではない方の場合、早期に通訳や翻訳などの対応を行うとスムーズなやり取りができるでしょう。事前に確認項目をチェックシート化しておくことで、担当者ごとの対応の均一化、業務効率向上に貢献してくれます。
翻訳や銀行同行など手厚いサポートが不可欠
外国籍の顧客にとって、住宅ローンの申し込みは日本人以上にストレスが大きくなるため、手厚いサポートが不可欠です。不動産会社ができるサポートとしては、「銀行への同行・質問事項の整理、日本語で届いたメール・書類の内容説明・通訳者の手配」などです。
手厚いサポートは手間がかかる一方で、「外国籍の顧客に強い不動産会社」としての信頼と良い口コミにつながります。結果的に、中長期的な集客メリットを生んでくれる可能性があります。
専門用語を噛み砕いた「やさしい日本語」資料を活用
住宅ローンや売買契約の説明では、日常では使わない専門用語が頻出するため、わかりやすい資料の活用をしましょう。日本語が得意ではない顧客にとっては、意味を理解するだけでも大きな負担です。不動産会社としては、こうした専門用語をかみ砕き、「やさしい日本語」で説明したオリジナル資料を用意しておくと大きな助けになります。
たとえば、漢字にふりがなを振ったり、図やイラストでイメージを伝えたりする工夫です。また、日本語が得意な顧客であっても、後から母国語で家族に説明する際にも役立ちます。難しいことをわかりやすく伝える姿勢は、国籍に関係なく信頼につながります。
提携銀行の「外国籍顧客の対応」を要確認
自社が提携銀行のなかで、「外国籍顧客の案件実績がある」「英語・その他の言語対応が可能」といった特徴を把握しておくことが重要です。銀行側に対しても、「外国籍の顧客が増えているので、対応方針を教えてほしい」などの相談をしておくと、現場との食い違いを減らせます。
また、提携銀行リストに「外国人対応可」「永住権なし相談可」といったメモをつけておけば、営業担当者がスムーズに紹介できます。結果的に、外国籍顧客から信頼を得られるでしょう。
永住権なしでも住宅ローンが組めることを提案しよう!

永住権なしの外国籍顧客でも、対応する銀行や住宅ローンを適切に選べば、組める可能性は十分にあります。不動産会社は、「永住権がないから難しいです」と門前払いをせず、まずはヒアリングから行ってみましょう。
顧客からヒアリングした情報をもとに、金融機関との橋渡しをすることが、不動産会社にとっての役割だといえます。正しい情報と手厚いサポートを提供すれば、外国籍顧客からの信頼を得やすくなります。
結果的に集客しやすい環境が構築され、実績とともに自社の売上アップにも貢献してくれるでしょう。
永住権なしで住宅ローンを組む際によくある質問
永住権取得後に金利条件の変更や借り換えはできる?
永住権を取得したあとに、住宅ローンの条件を見直すことは十分可能です。永住権を取得することで、銀行からの信用度が高まり、以前は対象外だった金融機関の審査に通るケースもあります。借り換えには諸費用もかかるため、どのくらい金利が下がればメリットが出るかのシミュレーションも重要です。
将来的に帰国することになった場合、ローン残債はどうなる?
途中で母国へ帰国することになった場合、原則として最後まで返済する義務があります。最も多いパターンは、保有している住宅を売却し、その売却代金で住宅ローン残高を一括返済する方法です。売却額がローン残高を上回れば問題ないものの、下回った場合は不足分を自己資金で補う必要がある点は注意が必要です。
日本人の配偶者がいない「独身・永住権なし」でも審査は通る?
日本国籍や永住権を持つ配偶者がいない場合でも、独身で永住権なしの方が住宅ローン審査に通る可能性はあります。その場合、銀行が主に重視するのは「日本語能力・在留資格の種類・在留期間」です。さらに、年収や勤続年数、頭金の有無などプラスになる材料があれば、より審査に通りやすくなる場合があります。









