
住宅管理で顧客の信頼を守る!不動産会社が取り組むべき防災対策
日本は世界有数の地震大国であり、大小さまざまな地震が発生しています。2024年1月には能登半島地震が発生し、大きな被害に遭いました。このような自然災害は、不動産業界にとって避けて通れないリスクです。
住宅を管理する不動産会社にとって、防災対策は「義務」といえる時代になっています。今回は、住宅管理における防災の重要性と具体的な対策について解説。適切な防災対策は入居者の命を守るだけでなく、建物の安全性やオーナー・顧客の信頼性向上にもつながるため、ぜひ参考にしてみてください。
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住宅管理における防災の現状
国土交通省が行った「賃貸住宅管理業務に関するアンケート調査(家主) 」の結果によると、オーナーが抱える不安・課題は、以下のとおりです。
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このような結果は、自然災害への関心の高まりを反映しているといえるでしょう。とくに、線状降水帯による豪雨災害や震災リスクが頻発する地域では、オーナーや入居者が防災に対する意識を高めています。
しかし、現状では多くの物件で防災対策が不十分です。とくに、中小規模の不動産管理会社では、体制が整っていない場合も少なくありません。
防災対策の具体的な取り組み
防災対策は、どのように行われているのでしょうか。今回は「防火管理者の設置と消防計画」「消防設備点検」の2点について解説します。
防火管理者の設置と消防計画
一定規模以上の共同住宅においては、防火管理者を設置し、消防計画を策定する必要があります。とくに50人以上が居住する建物では、法律に基づき、消防署に計画を提出しなければなりません。
しかし、小規模な物件や木造アパートでは、法律で義務付けられていないケースも多いのが現状です。それでも、消火器や火災報知機などの消防設備の点検は法律で定められており、不動産会社が責任を持って対応する必要があります。
消防設備点検の重要性
法律で義務化されている消防設備点検は、建物の安全性を維持するための基本です。点検の未実施や不備は、災害時に重大な事故につながる可能性があります。
たとえば、消火器の有効期限切れや火災報知機の故障が原因で、被害が拡大するケースもあるでしょう。不動産会社は、定期的な消防設備の点検スケジュールを作成し、確実に実施する体制を整えるべきです。
災害時に求められる不動産会社の防災対策
災害が発生した際は、迅速な対応が求められます。不動産会社に求められる業務内容は、以下の5つです。
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入居者や建物の状況を迅速に確認し、状況に応じた対策を講じる必要があるでしょう。また、大規模な物件では危機対応チームを設置し、災害時の行動ルールを事前に策定することが重要です。
「自助・共助・公助」を軸にした防災対策の重要性
防災対策では「自助・共助・公助」という3つの概念が重要です。
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災害が発生した場合でも、自治体による公助は時間がかかります。不動産会社は入居者に対して防災用品のリスト配布や、防災訓練の実施を通じて「自助・共助」の重要性を呼びかけることが重要です。
また、共同住宅では住民同士のつながりが災害時に大きな力を発揮します。日常的な挨拶の促進や定期的な防災イベントの開催などを通じて、住民同士のコミュニケーションを深める取り組みも大切です。
防災対策に役立つ参考資料
防災対策として役立つ2つの参考資料をご紹介します。1つ目は、不動産会社やオーナー向けに防災対策の基本を解説した「防災・復興ハンドブック」です。阪神淡路大震災や東日本大震災の教訓をもとに、具体的な対応策が記載されています。
2つ目は、熊本地震時の対応を詳細に記録した資料としてコスギ不動産が公開している「平成28年 熊本地震の記録」です。災害発生時の初動対応から復興までのプロセスが詳述されており、他の不動産会社にも参考になる内容です。今後の防災対策の策定に向けて、ぜひ参考にしてみてください。
防災対策を行うメリット
防災対策を行うことで、以下4つのメリットがあります。
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防災対策は、入居者の安心感を高め、長期的な物件価値の維持につながります。また、災害時の迅速な対応が不動産会社の評価向上につながり、新規顧客の獲得や既存顧客の満足度向上にも大きく貢献するでしょう。
適切な住宅管理で防災対策を行おう!
防災対策は、不動産会社にとって欠かせない責務です。消防設備点検や防災訓練の実施、参考資料の活用など、日常的に行うことが重要です。防災対策への取り組みは、不動産会社としての強みになります。オーナーだけではなく、入居者の安心や企業の信頼につながるため、できるところから適切な防災対策を始めていきましょう。