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「アパート蜂の巣」対応マニュアル|駆除の責任は誰にある?費用の目安は?

アパートに住んでいる方の中には、ある日、ベランダや共用部分で蜂の巣を見つけて驚く——このような経験をされた方も多いのではないでしょうか? また、管理会社のもとにも、入居者から 「蜂の巣を駆除してほしい!」という相談が寄せられることがあります。

このコラムでは、アパートで蜂の巣ができたとき、入居者や管理会社の皆様がどう考え、どう対応すべきかをわかりやすくまとめました。安心・安全な住まいを守るために、ぜひ参考にしてください。

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目次[非表示]

  1. 1.アパートで蜂の巣ができやすい、注意すべき場所
    1. 1.1.ベランダ
    2. 1.2.室外機・給湯器周り
    3. 1.3.通気口・換気扇
  2. 2.アパートの蜂の巣、駆除の責任は誰にある?
    1. 2.1.共用部分か専有部分か
    2. 2.2.入居直後に見つかったものか
    3. 2.3.賃貸借契約書に特約事項があるか
  3. 3.アパートの蜂の巣を放置した場合のリスク
    1. 3.1.管理者のリスク
    2. 3.2.入居者のリスク
  4. 4.アパートに蜂の巣ができたらどうする?どこに連絡すべき?
    1. 4.1.共用部分の巣は、管理会社や大家に連絡
    2. 4.2.専有部分の巣は、自身で駆除か専門会社に依頼
  5. 5.アパートの蜂の巣は自分で駆除できる?3つの判断ポイント
  6. 6.アパートの蜂の巣を自身で駆除する場合、どのような道具が必要?
    1. 6.1.駆除スプレー
    2. 6.2.ゴミ袋
    3. 6.3.防護アイテム
  7. 7.アパートの蜂の巣の「駆除費用の目安」と「専門会社の選び方」
    1. 7.1.蜂の巣駆除の専門会社の選び方:「最終的な料金が明確か」がポイント
    2. 7.2.蜂の巣駆除の費用の目安:専門会社に頼むと2万円程度〜
  8. 8.アパートの蜂の巣は小さいものでも油断禁物!適切な対応を
  9. 9.アパートの蜂の巣に関するよくある疑問
    1. 9.1.市役所に蜂の巣駆除を相談すると無料になる?
    2. 9.2.アパートの蜂の巣駆除で補助金は使える?

アパートで蜂の巣ができやすい、注意すべき場所

アパート外観

はじめに、アパートの中で「どのような場所に蜂の巣ができやすいのか」について確認しましょう。ウェザーニュースでは、住宅で蜂の巣ができやすい場所として以下を挙げています。

  • 天井裏・床下
  • 軒下
  • 玄関
  • 物置小屋

加えて、「前年に蜂の巣があった場所」や「樹木の枝・生垣」も要注意ポイントとのことです。

前出の内容を参考にすると、蜂の巣ができやすいのは「風雨をしのげて外敵に見つかりにくい場所」といえるでしょう。 アパートでこの条件に当てはまる場所としては、「ベランダ」「室外機・給湯器周り」「通気口・換気扇」なども考えられます。これらの場所も含めて、定期的に目視でチェックすると安心です。

ベランダ

アパートで蜂の巣ができやすい場所の代表がベランダ。ずっと置いてある大きな荷物の裏や手すり周りなど、見落としやすい場所が多くあります。とくに、日当たりが良く、死角があるベランダは蜂にとって居心地が良いため、注意が必要です。

室外機・給湯器周り

エアコンの室外機や、屋外設置の給湯器周りも、蜂の巣が作られやすい場所。理由は、これらの機器は風雨が直接当たらない場所に設置されることが多く、構造上、隙間が多いからです。中には、室外機の内部に巣ができてしまうトラブルもあります。

通気口・換気扇

アパートの通気口や換気扇の外フード裏は、風が入りにくく、蜂にとって快適な空間。蜂の巣ができても外から見えにくいため、気づいたときには蜂が大量にいる…というケースもあります。換気扇から変な音や、いつもと違う振動があった場合、蜂の巣が原因の可能性もあります。

参照:ウェザーニュース「ハチが巣を作りやすい場所をチェック 早期対策・駆除がカギ

アパートの蜂の巣、駆除の責任は誰にある?

注意喚起のイメージ

アパートの蜂の巣を駆除する責任は、入居者と管理会社・オーナー誰にあるのでしょうか。以下の3つのチェックポイントが判断基準になります。

共用部分か専有部分か

アパートの共用部分(外廊下や外階段・エントランスなど)に蜂の巣ができた場合は、管理会社やオーナーの責任で駆除を行うのが一般的です。一方、専有部分である室内やベランダに蜂の巣ができた場合は、入居者自身の責任で駆除をするのが基本でしょう。

ただし、ベランダは消防法上、共有部分になっているため、管理責任が誰にあるかについては賃貸借契約書や管理会社に確認するのがおすすめです。

入居直後に見つかったものか

アパートの専有部分にできた蜂の巣でも、入居した直後に見つかったものは、入居時点で存在した可能性が高いため、管理会社・オーナーの責任になる可能性があります。こちらも最終的には、賃貸借契約書や管理会社に確認するのが良いでしょう。

賃貸借契約書に特約事項があるか

契約書の中に害虫駆除に関する特約事項が設けられている場合は、その内容に沿って「アパートの蜂の巣駆除の責任が誰にあるのか」を判断してください。

アパートの蜂の巣を放置した場合のリスク

蜂に刺された人を移送する救急車

アパートの蜂の巣を見つけたのに見て見ぬ振りをするのは危険大。放置することで、アパート全体や近隣住民にも被害が及ぶ可能性があるため、早めの対応が求められます。

管理者のリスク

アパートの共用部分の巣を放置した結果、入居者や訪問者が刺されてしまった場合、管理会社やオーナーが管理責任を問われる可能性も。万が一、訴訟に発展すれば、損害賠償を求められることもあるため、迅速に対応するのが賢明です。

入居者のリスク

アパートの専有部分にできた蜂の巣を放置すると、蜂が飛び交うことで、洗濯物が干せない・窓が開けられない・外出が怖いといった生活の質の低下につながります。また、蜂に刺されると、強い痛みや腫れを伴うほか、アレルギー体質の方は命に関わる危険(アナフィラキシー)があります。

アパートに蜂の巣ができたらどうする?どこに連絡すべき?

管理会社に連絡しようとする入居者

アパートの入居者の方は蜂の巣を見つけたとき、焦らず冷静に対応することが重要です。以下の内容を参考に、判断・行動してみてください。

共用部分の巣は、管理会社や大家に連絡

アパートの共用部分に巣がある場合はもちろん、専有部分かどうかの判断がつかない場合、まずは管理会社やオーナーに連絡しましょう。早めに相談することで、ご自身やほかの入居者が蜂に刺されるリスクを軽減できます。

専有部分の巣は、自身で駆除か専門会社に依頼

蜂の巣ができた場所が専有部分の場合、「入居者自身が駆除する」または、「駆除の専門会社に依頼する」いずれかの選択になります。以下の内容を参考にして、適切な判断をしてください。

アパートの蜂の巣は自分で駆除できる?3つの判断ポイント

スズメバチの大きな巣

アパートの蜂の巣を見つけたとき、管理会社や入居者が「自身で駆除できるか」については慎重に判断する必要があります。蜂や害虫の駆除実績が9万件以上の株式会社RSX(みんなのハチ駆除屋さん)のアドバイスによると、「蜂の巣の場所」「蜂の巣の大きさ」「蜂の種類」の3点が判断ポイントになるそうです。


自分で駆除可

専門会社などに依頼

蜂の巣の場所

・巣の高さが2〜3m以下の場所
・開放的な場所(軒下や庭木など)

・殺虫スプレーの届かない高い場所
・屋根裏や床下など狭い場所
・土の中

蜂の巣の大きさ

・直径15cm未満

・直径15cm超

蜂の種類

・アシナガバチ

・ミツバチ

・スズメバチ

上記の内容をもとに、「自身で駆除する」と判断した場合、入居者や近隣住人に被害を及ぼさないよう、以下の配慮をしてから駆除を行うのが良いでしょう。

  • 蜂の巣の駆除を行うことを近隣に呼びかける(窓を閉めてもらう)
  • 複数で駆除を行い、通行人に危険を呼びかける

アパートの蜂の巣を自身で駆除する場合、どのような道具が必要?

蜂の巣駆除をしようとする男性

アパートの蜂の巣を駆除する際に必要なアイテムは、「駆除スプレー」「ゴミ袋」「防護アイテム」などです。管理会社であれば蜂の巣トラブルに備えて、アイテムを常時ストックしておくのがおすすめです。

駆除スプレー

一口に「蜂の巣の駆除スプレー」といっても、いくつかの種類があります。蜂の種類や目的に合ったタイプを選ぶことが重要です。たとえば、殺虫剤を取り扱う大手メーカーのアース製薬では、以下の3つのタイプを用意しています。

タイプ


特徴

商品例

エアゾールタイプ

・今すぐ駆除できる
・ハチの攻撃意欲を鈍らせる成分配合
・バズーカ式の強力噴射で巣ごと撃退

・ハチアブ マグナムジェット
・スズメバチ マグナムジェットプロ

駆除エサ剤タイプ

・10m程度離れた場所に置くだけで巣を駆除できる
・スズメバチがエサを巣に持ち帰り、駆除する仕組み
・大きな巣にも対応可能

・ハチの巣コロリ スズメバチ用駆除エサ剤

捕獲タイプ

・巣ができていない春先に設置すれば、被害を防止できる
・黒蜜+発酵樹液の強力誘引で蜂を捕獲

・ハチがホイホイ
・アースガーデン ハチ取り撃滅 捕獲器タイプ

参照:アース製薬「ハチ駆除といえばアース製薬

ここではアース製薬のラインナップをご紹介しましたが、他の製薬メーカーからも同様の蜂の巣駆除アイテムが発売されています。

ゴミ袋

アパートで蜂の巣を駆除する際、意外と忘れがちなのがゴミ袋の用意です。とくにエアゾールタイプを使う場合は、その場で蜂の巣や蜂の死骸を処理する必要があるため、厚手で大きめのゴミ袋が必須となります。

  • 厚手タイプ:蜂の針や尖った巣の破片が突き抜けにくい。二重にするとより安全
  • 大きめサイズ:口が縛りやすく、蜂の巣のサイズが大きい場合も入れやすい

注意点としては、蜂の巣をゴミ袋に入れる際は、蜂が完全に駆除されたことを確認することが重要です。また、駆除した蜂の巣を処分するルールは、市区町村によって異なります。必ず確認してから廃棄してください。

防護アイテム

アパートにできた蜂の巣の駆除をご自身で行う場合、肌の露出を完全になくすのが理想です。とくに蜂の巣のサイズが大きかったり、蜂の種類が不明だったりする場合は、以下のアイテムを組み合わせて肌の露出をなくすことが大事です。

アイテムの種類
選ぶときのポイント

防護服

・蜂の針を通しにくい厚手の生地

・頭が露出していると狙われやすいためフード付きを推奨

・顔周り、袖口、足首などに隙間ができないタイプ

・軽量かつある程度の通気性があるものが理想

手袋

・耐刺性の高い厚手タイプ

・手首までしっかり覆えるロングタイプ

防護ゴーグル

フェイスシールド

・顔が露出していると狙われやすいため必須アイテム

・防護ゴーグルは曇り止め加工がされているものが理想

長靴

・厚手で長さのあるタイプが理想

・隙間ができないようズボンの裾を長靴の中に入れる

長靴は、ズボンの裾を長靴に入れても隙間ができるなら、布で隙間を埋めるなどの工夫をしましょう。また、首元に隙間がある場合は、タオルでしっかり覆うと安心です。


アパートの蜂の巣の「駆除費用の目安」と「専門会社の選び方」

現地調査をする蜂の巣駆除業者

最近では、蜂の巣駆除の費用をめぐり、悪徳業者から高額な料金を請求されるトラブルが増えているようです。ここでは、トラブルを避けるために知っておきたい、専門会社の選び方と駆除費用の目安について解説します。

蜂の巣駆除の専門会社の選び方:「最終的な料金が明確か」がポイント

蜂の巣駆除のトラブルでよくあるのは、高額な料金を提示・請求されたというケースです。たとえば、読売新聞オンラインの記事では、「550円から」と書かれたサイトを見て、スズメバチの巣の駆除依頼をした男性が、実際には「大幅値引きしても30万円はかかる」といわれた事例が紹介されています。

このような事例を踏まえると、駆除会社から料金表や見積りが提示された場合でも、「その金額が最終的な費用か」を必ず確認することが大切。合わせて、蜂の巣の駆除会社に問い合わせる前段階で、口コミ(例:くらしのマーケット、Googleマップのレビューなど)の内容を確認するのもおすすめです。

参照:読売新聞オンライン「2023年10月19日付 記事

蜂の巣駆除の費用の目安:専門会社に頼むと2万円程度〜

アパートの蜂の巣を駆除する場合にかかる費用は、蜂の種類や巣の場所、大きさなどによって変わってきます。一例として、ダスキンでは、蜂の種類ごとに以下のような料金(税込)を設定しています。

  • アシナガバチ:2万2,000円
  • ミツバチ:3万8,500円
  • スズメバチ:4万9,500円

引用:株式会社ダスキン「ハチ駆除サービス

害虫駆除サービスを提供する「ダスキンターミニックス」は全国550拠点展開しています。そのため、地方のアパートで「蜂の巣の駆除会社が見つからない」といった場合でも対応してくれやすいと言えるでしょう。
※料金や拠点数は、2025年7月時点の内容です。

また、個人で駆除サービスを提供している場合は、1万円前後、それ以下の料金設定のケースもあります。ただし、駆除に必要な知識や経験が十分でない方もいるため、これまでの実績や経験年数を確認してから依頼するのが安心でしょう。

アパートの蜂の巣は小さいものでも油断禁物!適切な対応を

小さな蜂の巣

入居者の中には、「アパートで蜂の巣を見つけたけれど、小さいからまだ大丈夫」と放置しているケースもあるかもしれません。あるいは、入居者から相談を受けた管理会社の方でも、他の業務に追われ、「後で対処すれば良いだろう」と判断してしまうこともあるでしょう。

しかし、蜂の巣はわずかな期間で大きくなり、蜂の数も急激に増えていきます。それに伴い、刺されるリスクや近隣トラブルの可能性も急上昇。とくにスズメバチの巣は非常に危険ですので、早期の対応が不可欠です。

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アパートの蜂の巣に関するよくある疑問

市役所に蜂の巣駆除を相談すると無料になる?

お住まいの地域によっては、市役所などの公共機関が、一般住宅やアパートなどにできた蜂の巣の駆除を無料で行ってくれる場合があります。ただし、対応の有無や条件は自治体ごとに異なり、蜂の種類(多くの場合はスズメバチに限定)や巣の場所・高さなどによって、対応の可否が変わります。

また、すべての市区町村で無料駆除サービスを実施しているわけではないため、まずは総合窓口や担当課に相談してみましょう。

アパートの蜂の巣駆除で補助金は使える?

一部の市区町村では、一般住宅やアパートなどにできた蜂の巣駆除の費用を補助してくれる制度を設けている場合があります。多くの場合、駆除にかかった費用の一部を助成してくれるのが一般的です。

たとえば、群馬県みなかみ町では、駆除費用の2分の1(上限1万円)を補助する制度があり、アパートの所有者・管理会社・賃貸人のいずれも申請可能。なお、補助金の有無や対象となる蜂の種類、補助率・限度額・申請条件などは自治体によって異なります。まずは、お住まいの市区町村の総合窓口や担当課に確認してみましょう。

ラルズネット編集部
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