今こそ知りたい!最新の不動産市況 ~住宅総数と空き家率の実態~
総務省統計局が発表した「住宅・土地統計調査」の最新データが、2024年(2023年分)に公開されました。今回は最新の住宅・土地統計調査結果をもとに、直近5年間(2018〜2023年)の不動産市況を詳しく解説。住宅総数の増加や空き家の実態、地域ごとの不動産価格の変化について深掘りし、不動産市況の現在と今後の見通しを考察します。
目次[非表示]
- 1.増え続ける住宅総数
- 1.1.人口減少社会でも住宅が増える理由
- 2.空き家率の現状と変化
- 2.1.過去の予測と実績の比較
- 3.人口動向と不動産価格
- 4.動産価格の三極化と今後の課題
- 5.三極化が予想される不動産市況に備えよう!
増え続ける住宅総数
まずは、日本全体の住宅総数に注目しましょう。2023年時点での住宅総数は6,504.7万戸となり、2018年からの5年間で4.2%(263.9万戸)の増加を記録しました。増加ペースは、年間で約50万戸に相当します。大都市圏別に見ても、住宅戸数の増加が分かるでしょう。
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また、北海道や宮城といった地方都市でも増加傾向が確認されています。北海道では8万戸(2.9%増)、宮城では4万戸(3.7%増)という結果に。
参考元:総務省|令和5住宅・土地統計調査
人口減少社会でも住宅が増える理由
日本では人口減少が進む一方で、住宅数は増加傾向にあります。増加している理由は、以下のとおりです。
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このような現状を踏まえて、次は空き家率の動向を見てみましょう。
空き家率の現状と変化
2023年の空き家数900万戸に対する空き家率は、13.8%でした。空き家率は、2018年の13.6%からわずか0.2%の上昇にとどまり、横ばいの傾向が続いています。
空き家率がほぼ横ばいである背景には、都市部での住宅需要の高さが影響しています。空き家数が5年間で50万戸増加した一方、住宅総数は増加しました。このように空き家数と住宅総数の増加により、空き家率の上昇が抑えられ横ばい状態となっています。
過去の予測と実績の比較
以前の予測では、空き家率の急上昇が懸念されていました。野村総合研究所が過去に行った予測では、以下のような値が示されていました。
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しかし、2023年の実績値は13.8%にとどまり、予測よりも大幅に低い結果になりました。野村総合研究所は2033年の予測値を18.3%に修正しています。
年度 |
実績値 |
過去の予測値 |
差 |
2023年 |
13.8% |
21.1% |
-7.3% |
2033年(予測) |
18.3% |
30.4% |
-12.1% |
このように、空き家率の上昇ペースは当初の予測よりも緩やかであることがわかります。
参考元:野村総合研究所|総住宅数・空き家数・空き家率の実績と予測
人口動向と不動産価格
地域ごとの人口動向と不動産価格の変化は、不動産市場における二極化を明確にしているといえるでしょう。人口増加エリアと人口減少エリアに分けて解説します。
都市部では人口増加に伴い住宅需要が高まり、不動産価格が上昇しています。都市部のなかでも空き家率が低いエリアは、以下のとおりです。
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これらのエリアでは空き家率が10%前後にとどまり、不動産価格が高止まりしています。
一方、地方や過疎化が進む地域では、空き家率が上昇し、不動産価格の下落が懸念されています。地方や過疎化が進む地域のなかでも空き家率が高いエリアは、以下のとおりです。
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これらの地域では空き家率が20%前後に達しており、都市部との格差が広がっています。
動産価格の三極化と今後の課題
不動産コンサルタントの分析によれば、今後の不動産価格は以下のように三極化すると予測されています。
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とくに都市部ではマンション価格の上昇が続いており、利便性の高いエリアへの需要が集中。一方で空き家が増加する地域では、不動産価格が下落する可能性の高さが懸念されています。
そのほか、地方自治体の財政負担が増加したり、地域の景観悪化が進んだりする課題も挙げられるでしょう。地域ごとの課題に対応するためには、空き家対策や不動産の有効活用が求められています。
参考元:株式会社さくら事務所|2025年不動産は大暴落するのか? 金利上昇・2025年問題・新築供給減の影響は
三極化が予想される不動産市況に備えよう!
日本の不動産市場は、住宅総数の増加と空き家率の横ばいが同時に進行しています。都市部では住宅需要が高まり、不動産価格が上昇。一方、地方では空き家率が増加し、不動産価格の下落が進む傾向にあります。不動産市場の動向を正しく把握し、投資や不動産活用の戦略を練ることが重要です。
また、今後の不動産市場は「都市部での価格上昇・安定地域での維持・過疎地域での下落」といった価格の三極化が進むと予測されています。三極化する不動産市場に備えて、都市部での需要の高まりを見据えた投資や、地方での空き家対策が鍵になるでしょう。