人口減少時代の不動産賃貸管理|新時代に対応した戦略や提案力とは?
日本の賃貸管理市場は、少子高齢化や人口減少が進むなかで、新たな局面を迎えています。アパートやマンションの管理を担う賃貸管理会社は、時代の変化に対応しつつ、不動産オーナーの多様化するニーズに応えることが重要です。
今回は、現在の賃貸管理市場を取り巻く環境の変化を紹介しながら、物件の老朽化と不動産オーナーが抱える課題なども踏まえて、具体的な対応策について解説します。賃貸管理会社の進むべき方向性が見えてくるので、ぜひ参考にしてみてください。
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不動産オーナーを取り巻く環境の変化
不動産オーナーを取り巻く環境の変化は、以下の3つです。
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それぞれ解説していきます。
人口減少とエリアごとの影響
日本では少子高齢化が進み、人口の減少が社会全体に影響を与えています。国土交通省のデータによると、2050年までには全国的に人口が減少する見通しです。とくに地方では顕著な減少が予測され、国土の約98%の地域で人口減少が進むとされています。一方、人口が増加する地域(主に東京や大阪といった都市部)の人口増加率は、わずか2%です。
このような人口動態の変化は、賃貸市場に大きな影響を与えています。地方の賃貸需要が減少する一方で、都市部では住宅需要が高まる傾向が継続。地方に物件を所有する不動産オーナーにとっては、空室率の上昇や賃料の下落といったリスクの顕在化が考えられます。
参考元:国土交通省|人口関係参考資料
都心回帰と地方との二極化
コロナ禍をきっかけに一時的な地方移住が注目されたものの、現在では都市部への都心回帰が進んでいます。東京都では、コロナ禍で一時的に人口が減少しました。しかし、2023年には再び増加に転じています。都市部の利便性や経済的な魅力が再評価されたことで、地方と都市の二極化がさらに進行。
このような二極化は、賃貸管理市場においても明確な影響を及ぼしています。地方では賃貸需要の減少が顕著であるのに対し、都市部では競争が激化。賃貸管理会社には、地域ごとの特性を踏まえた柔軟な対応が求められています。
世帯数の変化と新築物件の供給状況
人口が減少しているにもかかわらず、世帯数は増加しています。理由は、単身世帯の増加や核家族化、晩婚化などの影響によるものです。しかし、将来的には人口減少と連動して世帯数も減少に転じると予測されています。
一方で、新築物件の供給は安定しており、年間で約85万戸の住宅を新たに建設。とくに賃貸物件は年間で約34万戸が供給され、競争が激化しています。不動産オーナーや賃貸管理会社にとっては、戦略を見つめ直す時期だといえるでしょう。
物件の老朽化と不動産オーナーの課題
築20年以上の賃貸物件割合は50%を超えており、老朽化が進んでいます。このような現状は、賃貸物件の維持管理において大きな課題といえるでしょう。築古物件は設備の老朽化や外観の劣化が進むため、入居者の満足度を維持するためには定期的な修繕が必要です。
また、物件の老朽化に伴い、修繕費用や建て替えの必要性が増加。国土交通省のアンケート調査では、不動産オーナーが抱える主な課題として「空室対策」「相続問題」「修繕費用の負担」が挙げられています。これらの課題は、不動産オーナーの高齢化や物件の老朽化が進むほど、深刻化していくでしょう。
不動産オーナーの課題を解決するためには、賃貸管理会社の具体的かつ効果的なサポートが必要不可欠です。たとえば、修繕計画の策定や建て替えの提案を行い、不動産オーナーの負担を軽減しつつ物件の価値を維持することが求められます。
参考元:国土交通省|賃貸住宅管理業務に関するアンケート調査(家主)
賃貸管理会社に求められる新たな役割
賃貸管理会社には、従来の賃貸管理業務に加え、不動産オーナーの資産背景を踏まえた包括的な提案が求められています。たとえば、築古物件の売却や土地活用を視野に入れた新築計画の立案、不動産オーナーの資産運用や相続対策に関するコンサルティングなどです。
不動産オーナーのニーズに応えるためには、不動産売買の経験や建築分野の知識を蓄えたり、長期的な支援が必要不可欠といえます。不動産オーナーからの満足度向上だけではなく、会社の業績アップにもつながるでしょう。賃貸管理会社は、賃貸管理業務の提供者から不動産オーナーに信頼されるパートナーへと進化できます。
新時代に適応した不動産賃貸管理を実践しよう!
人口減少や市場の変化が進むなか、賃貸管理会社には柔軟で包括的な対応が求められています。不動産オーナーの多様な課題を解決し、時代のニーズに合ったサービスを提供することで、競争力を高めることが可能です。これからの賃貸管理市場で成功するためには、不動産オーナーとの信頼関係を基盤とした戦略や総合的な提案力を身に付けましょう。